7日に日本武道館で開催された「K-1 WORLD MAX 2008」の一夜明け会見が8日、都内で行われた。会見には前日、強豪を退け決勝大会に駒を進めた4選手が出席。準々決勝でドラゴ(ショータイム)を破った魔裟斗(シルバーウルフ)からは、「日本最強の座と世界最強の座を獲りたい」と優勝宣言が飛び出した。
(写真:準決勝で激突する(左から)佐藤と魔裟斗)
 魔裟斗は、ドラゴ戦の内容(判定3−0)に不満気ながらも「サワーとスタイルが似ているのでいい練習になった。サワーには決勝でリベンジしたい」とニヤリ。「準決勝で燃え尽きずにもう1試合戦うことを頭において、今年こそチャンピオンになりたい」とその視線の先には頂点しか見えていないようだ。
 準決勝で対戦が決まった佐藤嘉洋(フルキャスト/名古屋JKファクトリー)戦については、「お互いの気持ちがぶつかり合い、真っ向から打ち合う熱い試合にしたい」と語った。これまで佐藤を“格下扱い”してきたが、「ブアカーオに勝ったので認めざるを得ない」と心境の変化も。“米国進出”を口にする魔裟斗だが、佐藤に完勝することで夢の実現に近づくか。

 K-1でブアカーオ・ポー.プラムック(ポー.プラムックジム)を初めてKOで沈めた選手になった佐藤は試合を振り返り、「一番相性が悪い選手だと思っているブアカーオをKOできたことは自信になった。これまでの練習が間違っていなかったと確信した」と喜びの表情を浮かべた。
 魔裟斗について、「K-1ルールにおいて完成されたスタイルを確立した選手」と称賛する一方、「決勝大会は今年の格闘技界で一番盛り上がる日になる。当日は僕が主役になります」と決戦への自信ものぞかせた。また、魔裟斗の“真っ向勝負”宣言に対し、「パンチを振り回して打ち合うだけが真っ向勝負ではない。自分のスタイルで勝負したい」と冷静に語った。184センチの長身とリーチを生かした戦いで、悲願の“魔裟斗超え”なるか。

 前回王者のアンディ・サワー(シュートボクシング オランダ)は、熱戦となったウォーレン・スティーブルマンズ(ボスジム)戦を、「結果に満足している。ひとつの障害を乗り越えたという気分だ」と振り返った。また、準決勝で対戦するアルトゥール・キシェンコ(キャプテン オデッサ)の印象について、「21歳とまだ若いが、昨年の3位、今年のベスト4という結果が実力の高さを証明している。難しい試合になるだろう」と語り、表情を引きしめた。
(写真:(左から)キシェンコと前回王者サワー)

 その現世界王者と対戦するキシェンコは、「2度も王者になっているサワーと戦えることは光栄で、言葉にならないほどうれしい」と喜びのコメント。自慢のテクニカルなパンチとディフェンスが発揮できれば、サワーといえど安泰とはいえないだろう。

 会見に同席した谷川貞治イベントプロデューサーは、「決勝大会に進出した4選手は実力が拮抗していて、決勝戦のカードは全く予想がつかない。試合までの3カ月間の努力と当日の運で勝敗が決まるのではないか」と展望を示した。また、魔裟斗対佐藤戦について、「MAXの歴史に残る、歴史を変える、世界中を驚かせるような試合を見せてほしい」と期待を込めた。さらに「佐藤はMAXを引っ張ってきた魔裟斗を超えられるかどうか。準決勝が佐藤の本当の実力を証明する試合になる。魔裟斗は佐藤みたいに身長があるタイプは一番やりにくいはず。異種格闘技戦のようにとまどうのではないか」とそれぞれについて語った。

 10月1日、日本武道館で第7代K-1ミドル級王者が決まる。5年ぶりの戴冠を狙う魔裟斗、“打倒魔裟斗”を誓う佐藤、連覇を目論むサワー、勢いに乗る21歳のキシェンコ……。頂点の行方と同時に、「MAXの歴史を変える」日本人最強決定戦は見逃せない。