29日、キリンチャレンジカップ2008が国立競技場で行われ、北京五輪に出場するサッカーU−23日本代表がU−23アルゼンチン代表と対戦した。日本は前半から積極的にサイド攻撃をしかけ、五輪優勝候補に互角の展開をみせる。ところが、後半開始からはアルゼンチンが猛攻をしかけ防戦一方。守備陣の踏ん張りでどうにか耐えていたが、68分にFWアルヘン・ディマティアの右足でゴールを割られた。その後もアルゼンチンが猛攻をしかけたが、83分すぎに落雷により試合は中断、このまま中止となる波乱の展開になった。反町ジャパンは今後も国内で合宿を行い、8月7日に天津で行われるアメリカ戦へ向けて最終調整する。

 豪雨の中、五輪前に収穫ある一戦(国立)
日本代表 0−1 アルゼンチン代表
【得点】
[ア]アルヘン・ディマティア(68分)
 24日にオーストラリア代表に快勝した日本代表が、東京で迎えた本番前最後の相手は前回五輪大会優勝のアルゼンチンだった。来日が期待されていたリオネル・メッシ(バルセロナ)の出場は叶わなかったが、ファン・ロマン・リケルメ(ボカ・ジュニアーズ)やハビエル・マスケラーノ(リバプール)など世界のトップレベルで活躍する選手を多数擁し、北京でも連続金メダルを狙っている。今日の試合でも現在のベストメンバーと思える先発選手で戦いに臨んできた。

 対する日本代表は格上の相手に怯まずに、前半から積極的に攻撃を組み立てる。右サイドからはDF内田篤人(鹿島)−MF本田圭佑(VVV)、左サイドからDF安田理大(G大阪)−MF香川真司(C大阪)のコンビが相手を崩していくという明確な意思を持っていた。前半8分、36分の2度の内田の突破は南米の強敵を少なからずあわてさせたはずだ。

 しかしながら、後半から試合は一変する。前半はアルゼンチンをシュート1本に抑えていた日本だが、シフトチェンジしてきた相手に防戦一方となる。勝負所で一気に畳み掛けてくることできるのが、やはり勝ち方を知っている王者の戦いぶりなのだろう。ただ、シュートまでの形を何度も作られゴールに迫られるも、DF水本裕貴(京都)を中心に守備陣がどうにか持ちこたえた。

 しかし、ついに均衡が破れる。68分、PA外のゴール正面でFWセルヒオ・アグエロ(アトレティコ・マドリー)の足元にボールが収まり、ためを作られた隙に右サイドへ走りこんだアンヘル・ディマリア(ベンフィカ)に右足でゴールに押し込まれた。

 日本は失点後、カウンターを武器に応戦をするが、アルゼンチンの積極的な攻めの姿勢の前に守りの時間が続いた。
 そして、最後の勝負どころとなる残り10分を切ったところで想定外の事態が起こる。後半開始直後から降り始めた雨が、雷鳴を轟かせて豪雨へと変わる。競技場近くに落雷があり、会場が騒然とする中、ここで試合は中断。10分ほど経過したところで安全面の確保ができないとの理由で、試合は7分を残し中止という形に追い込まれた。

 試合後、反町康治監督は開口一番、「最後は消化不良になってしまったが、強敵相手にひるむことなく、困らせたり驚かせることができた点は評価できる」と収穫を口にした。しかし「0−1で負けたという結果はしっかりうけとめていきたい。五輪のアメリカ戦には今日の2倍くらいの力はみせられるようにしたい」と本番に向けて、チームの調子をさらにあげていくことを約束した。

 選手からも同様の感想が飛び出した。安田は「あの(ゴールになった)1本以外は十分にやれていた。しかしここで1本入れるのが世界の強豪。本番前に世界の一線で戦う選手とやれたことはよい経験になった」と手応えをつかんだようだ。

 雷雨で途中終了という予想もできない幕切れになったが、これで最後のテストマッチは終了した。本大会のグループリーグでも格上といわれる国々との対決が待っている。今日の惜敗が明日の糧となれば、目標とするグループリーグ突破へ視界は開けてくるはずだ。

<日本代表出場メンバー>

GK
西川周作
DF
水本裕貴
森重真人
安田理大
→長友佑都(76分)
内田篤人
MF
本田拓也
谷口博之
梶山陽平
本田圭佑
→岡崎慎二(76分)
香川真司
FW
豊田順平
→森本貴幸(65分)

【五輪日程】
グループリーグ
8月7日(木) アメリカ戦
8月10日(日) ナイジェリア戦
8月13日(水) オランダ戦

 また女子日本代表(なでしこジャパン)も男子同様、アルゼンチン代表と対戦した。前半に2ゴールをあげ、後半はそのリードを守り切り快勝を収めた。五輪本大会にも出場する相手を完封し、最後のテストマッチを最高の形で終えた。なでしこジャパンは31日に中国へ出発し現地で最終調整を行い、8月6日の北京オリンピック初戦女子ニュージーランド代表戦に臨む。

 2トップ揃って得点、北京へ弾み (国立)
女子日本代表 2−0 女子アルゼンチン代表
【得点】
[日]大野忍(33分)、永里優希(36分)

<女子日本代表出場メンバー>

GK
福元美穂
DF
池田浩美
→矢野喬子(46分)
柳田美幸
→宇津木瑠美(84分)
安藤梢
→原歩(56分)
近賀ゆかり
岩清水梓
MF
澤穂希
宮間あや
阪口夢穂
→加藤興恵(56分)
FW
大野忍
→丸山桂里奈(72分)
永里優季
→荒川恵理子(46分)

【五輪日程】
グループリーグ
8月6日(水) ニュージーランド戦
8月9日(土) アメリカ戦
8月12日(火) ノルウェー戦