4年前のアテネで金メダルを獲得した男子体操・団体は12日、決勝に臨んだ。あん馬や跳馬ではミスが目立ち、トップをいく中国に大差をつけられたものの、エースの冨田洋之、期待の若手・内村航平がそれをカバーする安定した演技を披露。最後は得意の平行棒、鉄棒で2位につけていた米国を逆転し、銀メダルを獲得した。
 床からスタートした日本は1人目の中瀬卓也が最初の新月面の着地をきっちりと決めるなど安定した演技を見せるも、最後の着地でミスしてしまう。次に登場したのが“床のスペシャリスト”沖口誠。痛めている足首が不安視されたが、スペシャリストらしい美技を演じた。しかし、最後の地で片足がラインを割り、減点となってしまう。
 最後は19歳、期待の新鋭・内村。得意の床とあって勢いのある演技を披露した内村は最後の着地もしっかりと決め、ほぼノーミスでまとめた。本人も納得の演技に思わずガッツポーズが出る。
 得点は坂本15.000、沖口15.275、内村15.700で合計45.975点で45.925点の中国を0.05上回った。

 続いてあん馬の演技に入った日本。予選ではこの種目のエースである鹿島丈博が落下するなどミスが相次ぎ、日本にとって最も不安な種目だった。
 まず登場したのは安定感が光る主将の冨田。緊張感が漂う中、富田は途中少しバランスを崩す場面があったものの、持ち直して無難にまとめ、まずまずの演技を見せた。2人目の坂本功貴も途中、大きくバランスを崩したが、最後まで途切れることなく演じ切った。そして最後に登場した鹿島は確実性を求め、トレードマークの“メリーゴーランド”を封印。それでもスピードのある思い切った演技を披露した。
 得点は富田15.150、坂本14.850、鹿島15.575で合計45.575点と予選を上回った。しかし、中国は最後の一人が16.100点と高得点を出し、46.025点をマーク。2種目を終えた時点で日本を0.4上回った。

 3種目目の吊り輪で中国は3人全員が16点台をマークし、合計48.875点と高得点をマークした。
 その中国に続いて登場した日本は中瀬15.425、坂本15.525、冨田15.950と安定した演技を見せて予選より1点以上を上回る46.900点をマークした。
 3種目を終えた時点で、日本は米国、中国、フランスに次いで4位の位置につける。

 逆転でメダル獲得を狙う日本。しかし、跳馬では鹿島、坂本が着地を失敗し、大きく減点。鹿島15.200、坂本15.400と得点を伸ばすことができなかった。最後に内村が16.150と高得点をマークしたが、3人の合計は46.750。予選を2点近く下回る結果となった。

 5種目目の平行棒は坂本が15.000にとどまるも、内村が15.925、冨田が16.150と高得点をマーク。あと1種目を残して2位・米国に1.7に迫る。

 最後の種目、鉄棒に登場したのは中瀬、内村、富田。まずは中瀬が無難にまとめて15.525。続く内村もほぼ完璧な演技を披露し、15.450をマークした。そして日本のエース冨田も力強く美しい技を連続で決め、15.625を叩き出した。

 全種目を終えて日本の合計は278.875点。地元の大声援に後押しされ、独走態勢となった中国には及ばなかったものの、日本は最後に米国を抜き、見事銀メダルを獲得した。

 主将・エースとして演技でもチームを牽引した冨田は試合後には「(最終種目の鉄棒では)やっぱり緊張感はすごかったので、演技が終わった後はホッとした」と安堵の表情を浮かべた。
 19歳で初めての五輪の舞台を経験し、銀メダル獲得に大きく貢献した新鋭の内村は「ロンドン(五輪)では確実に金をとれるようにしたい」と早くも4年後の活躍を誓った。