17日、女子レスリングの63キロ級と72キロ級が行なわれ、63キロ級に出場した伊調馨は連覇を成し遂げた。72キロ級に出場した浜口京子も連続銅メダルを獲得した。この結果、北京五輪の女子レスリングの成績は、吉田沙保里と伊調馨が金、伊調千春が銀、浜口京子の銅とアテネと全く同じ成績を維持した。
 前日、決勝で敗れた姉・千春のためにも金メダルを目指した伊調馨。決勝でカルタショワ(ロシア)を退け、アテネ五輪に続き2連覇を達成した。
 伊調馨は初戦のザムラ(アゼルバイジャン)戦、準々決勝のミラー(アメリカ)戦を圧倒的な強さでフォール勝ちした。しかし、ダグレニエ(カナダ)との準決勝は思わぬ苦戦を強いられる。第3ピリオドをイーブンで終えたが、ルールにより、後でポイントを取った伊調馨が辛勝した。

 迎えた決勝ではカルタショワ相手に1ピリオド、2ピリオドともポイントを奪えない。試合時間の2分を消化後、第1ピリオドでは抽選で相手にクリンチの攻撃権が与えられたが30秒間守りきった。第2ピリオド終了後には、逆に攻撃権を得た伊調馨が一気に相手を押し倒して試合を決める。疲労からか本来のキレのあるタックルは影を潜めたものの、それでも勝利をモノにする女王らしい強さをみせた。

■伊調馨選手もコメント
「うれしいの一言です。(表彰台で笑顔だったのは)千春が笑顔でいってこいと言ってくれたので。千春と歩いた4年間でした。厳しい試合になると思っていました。自分から取ったポイントはなかったんですけど、最後は千春の存在が力を貸してくれました。アテネの悔しい気持ちがあって、姉妹で金は叶わなかったんですけど、この金メダル1個が千春にとっても自分にとっても最高の金メダルだと思います」

 悲願の金メダルを狙った浜口京子は準決勝で敗れたが、3位決定戦でバーナード(アメリカ)を下し、銅メダルを獲得した。
 ペレペルキナ(ロシア)との1回戦は第3ピリオドに相手の警告ポイントでなんとか勝利した浜口。準々決勝ではコンセイカオ(ブラジル)からフォールを奪う圧勝をみせたが、準決勝の壁は高かった。オウキョウに第1ピリオドを2−5で取られ、第2ピリオドにフォール負け。しかし、3位決定戦は軽快な動きをみせ、判定6−1の圧勝をおさめた。試合終了後、浜口は会心の笑顔で2大会連続のメダルを喜んだ。

■浜口京子選手のコメント
「アテネも嬉しかったけど、北京のメダルが一番嬉しいです。母には迷惑をかけたので、恩返しをしたいなと思っていました。北京オリンピックは一生の宝です。ここまでくるのにレスリングができないくらいに落ち込んだ時もありましたが、続けてきてよかった。日本の女子レスリングが活躍できてよかったです。(銅メダルを父の)首にかけてあげたいです」