野球1次リーグ第5戦が行われ、日本はカナダを1−0の接戦で下し、3勝目(2敗)をあげた。両チーム無得点で迎えた5回、稲葉篤紀のソロホームランで先制。先発の成瀬善久から藤川球児、上原浩治とつないで虎の子の1点を守りきった。
◇1次リーグ
 成瀬、7回無失点、10奪三振の好投
日本代表      1 = 000010000
カナダ代表     0 = 000000000
勝利投手 成瀬
敗戦投手 べッグ
セーブ   上原
本塁打   (日)稲葉ソロ

 スコアは1−0。点差をみればきわどい勝負だった。しかし、1点でも充分と思わせるほど、この日の日本投手陣は素晴らしいピッチングをみせた。

 先発の成瀬善久は完璧な立ち上がりをみせる。左打者の多い相手打線に対し、内から外へ逃げるスライダーが効果的に決まる。相手が変化球を待っているところへ、直球を要求した里崎智也のリードも光り、3回までパーフェクトに封じる。

 先制点の欲しい日本は初回から3回まで毎回ヒットが出るものの、カナダ先発のべッグの多彩なボールを仕留められず、得点を奪えない。初回には森野、4回には青木宣親がゲッツーに倒れ、ベンチには重いムードが漂った。

 成瀬が迎えた最大のピンチは4回だった。1死から2番のガルシアがセンター前ヒットで初出塁を果たす。続く、ソーンダースの当たりはファースト正面。ところが一塁手・新井貴浩の手前でイレギュラーバウンドし、打球がライト線へ抜けた。1死2、3塁。カナダが絶好のチャンスをつくる。

 しかし、ここからが成瀬の見せ場だった。昨季メジャーリーグで2ケタのホームランを放っている怖いソーマンに対しては内、外とボールを投げ分けて追い込む。カウント2−2から投じたストレートは外角高めに浮いたが、ソーマンのバットが思わず出る。空振り三振で2アウト。さらにウェグラーツにはフルカウントからスライダーで勝負をかける。ストライクコースからボールゾーンに変化する、これ以上ない一球にカナダの強打者のバットは空を切った。圧巻の2者連続三振。成瀬は窮地を脱した。

 すると直後、日本に待望の1点が入る。4回、先頭の稲葉篤紀がカウント0−2からストライクを取りにきたスライダーをとらえた。打球はグングン伸びて、右中間スタンドへ。負けられない一戦でどうしても欲しかった先制点。値千金のソロアーチが飛び出した。

 成瀬は7回まで投げきり、星野ジャパン自慢のリリーフ陣が出動する。まず8回は藤川球児。MAX151キロのストレートとフォークでカナダの攻撃を簡単に3人で終わらせる。そして最終回は上原浩治。鋭く落ちるフォークで相手のタイミングを外す。最後の打者も力のないセカンドゴロに打ち取り、星野ジャパンに大事な1勝をもたらせた。
 
 眼下の敵だった3敗のカナダに勝利したことで、日本は決勝トーナメント進出(4位以内)に大きく視界が開けた。19日は地元の中国と対戦する。