ソフトボールの準決勝と3位決定戦が行われ、1次リーグ2位の日本は準決勝で五輪3連覇中で同1位の米国と対戦した。日本は延長戦の末、米国に4点を勝ち越され、1−4で敗れた。日本は夜に行われる3位決定戦にまわり、オーストラリアと対戦。こちらも延長戦にもつれ込んだが、西山麗のタイムリーでサヨナラ勝ちをおさめた。日本は21日の決勝進出を決め、再び米国と激突する。
◇3位決定戦
 上野、延長12回を投げぬく
オーストラリア代表 3 = 1000001 00010
日本代表       4 = 0002000 00011× (延長12回)
勝利投手 上野
敗戦投手 ハーディング
本塁打   (オ)ワイボーンソロ
       (日)広瀬2ラン

 準決勝の米国戦で9回148球を投じたエース上野由岐子が夜の試合でも延長12回を投げぬき、日本を決勝進出に導いた。

 7回、勝利まであと1人の場面だった。2−1で日本は1点のリード。上野の投じた1球が甘く入った。2番・ワイボーンが振りぬいた打球は、センターの頭上を越え、スタンドに突き刺さった。まさかの同点ホーマー。そこから激闘が始まった。

 昼の準決勝に続く連投となった上野は立ち上がりを突かれる。1死1塁から4番のルイスにライト線を破られるタイムリー3塁打。日本は1点を先行された。

 早く追いつきたい日本だが、3回まで走者を出しながら、チャンスを広げられない。しかし4回、広瀬芽が走者を1塁に置いて、インコースのボールをフルスイングする。打球はライトフェンスを越える逆転2ラン。日本は1点のリードを奪って試合を進める。上野は6回の2死1、3塁のピンチを脱し、決勝進出は目前に迫っていた。

 だが、ここからが長かった。最終回に同点に追いつかれた日本は、毎回のようにサヨナラの場面をつくる。7回には2死1塁からDP・藤本索子が右中間を破るが、一塁から一気に本塁を突いた伊藤幸子が塁上でタッチアウト。8回には2死1、2塁で4番の馬渕智子がファーストへファールフライ。9回には1死2、3塁から、ここまで無安打の三科真澄が凡フライに倒れる。10回も狩野亜由美が3塁打を放ったものの、続く西山がセンターへのフライを打ち上げた。タイブレーク方式で、あらかじめ2塁に置いた走者が飛び出してアウトになるミスも重なり、日本はホームが遠い。

 ゲームが動いたのは延長11回、オーストラリアの攻撃。2死2塁からワードに変化球をレフト前へ運ばれ、1点を勝ち越された。追い詰められた日本はここから粘る。無死2塁から確実にバントで送り、続く馬渕の打ったフラフラッとあがった当たりがショートの後ろを襲う。懸命に背走したショートのグラブをはじき、ボールは地面にポトリ。3塁走者が生還し、試合を振り出しに戻した。

 そして延長12回、ようやく決着がついた。日本は無死2塁から相手のエラーと、犠打、敬遠で1死満塁とサヨナラのお膳立てをする。ここで打席に立ったのは西山。1次リーグのカナダ戦で先制打を放った勝負強いバッターは、来た球を思い切って打ち返した。ボールは歓声とともにセンター前へ。見事なサヨナラ打で3時間を超える大熱戦に終止符を打った。

◇準決勝
 上野、9奪三振の力投も報われず
米国代表     4 = 0000000 04
日本代表     1 = 0000000 01 (延長9回)
勝利投手 アボット
敗戦投手 上野
本塁打   (米)バストス3ラン

 勝負の米国戦、日本はエースの上野由岐子を先発マウンドに送る。1次リーグの日本戦では4本塁打を浴びせた米国打線を初回、2回と三者凡退。上野は最高の立ち上がりをみせた。

 一方、米国の先発は1次リーグで1安打に抑えられた長身左腕のアボット。日本は初回に山田恵里がヒットで出塁したものの、2回から6回までパーフェクトに封じ込まれる。

 失点を防ぎたい日本は、バックが堅い守りをみせる。4回、ロウのレフト線へ飛んだ打球を馬渕智子がダッシュして捕球し、好返球。二塁を狙った打者走者をタッチアウトにした。6回にも1死1、2塁から3番・メンドーサの強烈なライナーをサード・広瀬芽ががっちりとキャッチ。飛び出した1塁走者を刺してダブルプレーにしとめた。

 両チーム無得点で迎えた最終回、ついに日本にチャンスが生まれる。2死から4番・馬渕が四球で出塁。5番・佐藤理恵がチーム2本目のヒットを放ち、初めて得点圏に走者を進める。迎えるバッターは広瀬。1次リーグでチームトップの打率を残したバッターだ。サヨナラ打に期待がかかったが、フルカウントからアボットの高目の速球に手を出し、バットが空を切った。0−0のままタイブレーク方式の延長戦にもつれこむ。

 無死2塁の場面からスタートする8回表、日本はいきなり無死1、3塁とチャンスを広げられる。しかし、ここからエースが力投をみせた。ユング、フラワーズの下位打線に対して二者連続三振。1番のワトリーも力のないピッチャーゴロに仕留め、ピンチを脱した。

 サヨナラ勝ちを狙いたい日本だが、その裏は無死2塁からランナーを進められない。8回裏はバント失敗と一塁へのポップフライで簡単に2死をとられ、9番・藤本索子は見逃しの三振に倒れた。

 こうなると米国が底力を発揮する。9回はロウがスラップ気味に上野のボールにバットを合わせると、打球はセンター前へ。2塁走者が生還し、日本は痛い1点を失った。これに上野は気落ちしたのか、続くメンドーサを歩かせ、パワーのある主砲バストスにレフトスタンドへ特大の3ランを打ち込まれた。

 3点を追う日本は最終回、代打・伊藤幸子のタイムリーで1点を返したものの、反撃もここまで。終盤のあと一本に泣き、最強チームを倒す好機を逃した。