15日、トリプル世界タイトルマッチがパシフィコ横浜で行われ、WBC世界ス−パ−バンタム級暫定王座決定戦に挑んだ同級2位の西岡利晃(帝拳)が同級3位のナパ−ポン・ギャティサックチョ−クチャイ(タイ)を判定3−0で下し、王座に輝いた。メ−ンに登場したWBA世界ミニマム級王者新井田豊(横浜光)は同級1位のロ−マン・ゴンサレス(ニカラグア)に屈し、8度目の防衛に失敗した。日本人対決として注目を集めたWBA世界ス−パ−フライ級王座決定戦は同級1位名城信男(六島)が同級3位河野公平(ワタナベ)を判定2−1で破り、昨年5月に失った王座に返り咲いた。この結果、日本ジム所属の現役世界王者は6人になった。
(写真:リングで長女小姫ちゃんに祝福される西岡)
 西岡が5度目の挑戦でついにチャンピオンベルトを掴んだ。前回挑戦から4年半が経過し、“最後”と決意して臨んだ一戦だった。
 立ち上がりは西岡がジャブからの左ストレ−トでペ−スをつかみ、ナパ−ポンの出鼻をくじく。3ラウンドには西岡が完璧なアウトボクシングを披露。軽快なフットワ−クで距離を支配し、カウンタ−を立て続けにヒットさせる。4ラウンド終了時点で判定は39−37が2者、40−36と西岡が大きくリードを奪う。
 中盤、ナパ−ポンも世界トップランカ−の実力を発揮し、連打を当てる。しかし、8ラウンド終了時もポイント差は縮まらない(77−75が2者、80−72)。11、12ラウンドには、ナパ−ポンにバッティングとプッシングでそれぞれ減点1が宣告され、ポイント差はさらに広がった。最終的には判定3−0(117−109が2者、119−107)の完勝。
 試合後、西岡は「絶対に気持ちで負けないようにした。ピンチの時も“ここが勝負”と気合いを入れた」と勝因を語った。暫定王者となった西岡は、負傷で休養中の正規王者イスラエル・バスケス(メキシコ)が復帰すれば、原則として統一戦を行うことになる。

 WBA世界ミニマム級タイトルマッチではKO率9割のゴンサレスの拳がわずか15分足らずで新井田のベルトを強奪した。ゴンサレスは開始のゴングから迫力あるコンビネ−ションで王者に襲いかかる。新井田はスピ−ドとテクニックを駆使したアウトボクシングで応戦するが、相手の勢いを止められず、ゴンサレスペ−スの打ち合いに引き込まれてしまう。豪腕を振り回し続ける挑戦者の前に、V7王者新井田の体が悲鳴をあげ、4ラウンド1分59秒、右目がふさがった新井田にレフェリ−は試合続行不能を宣告した。
 試合後、新井田は2ラウンドに喰った右フックで左耳の鼓膜が破れたことも明かした。「予想以上の圧力でした。無様に負けた、その程度の力だったということです。今後のことはまだ考えられません」。顔面に刻まれた痛々しい傷が若き新王者の強打を物語っていた。


 WBA世界ス−パ−フライ級王座を懸けた名城対河野の一戦は、戦前の予想通り激しい打撃戦となった。前に出て手数を出し続ける河野、威力のあるブローで応戦する名城。3ラウンド以降はクリンチが目立ち、近距離での打ち合いが続いた。結局、両者ダウンを奪えなかったが、意地と意地がぶつかりあった見ごたえのある攻防だった。
 結果は終盤でアッパ−に活路を見出した名城が判定2−1(115−114河野、115−114名城が2者)で辛くも勝利。わずか1ポイント差という大接戦だった。「河野選手はすごく強くてきつかった。5分5分の試合」と王者になった名城は激戦を振り返った。
(写真:激しい打撃戦を繰り広げた名城(左)と河野(右))