23日、「DREAM.6 ミドル級グランプリ2008決勝戦」がさいたまスーパーアリーナで開催され、ゲガール・ムサシ(team Mousasi/Red Devil International)が決勝でホナウド・ジャカレイ(アスレ マナウスーエクストリームクートゥア)を下し、初代ミドル級王者に輝いた。また、ベビー級ワンマッチに登場したミルコ・クロコップ(チーム・クロコップ)はアリスター・オーフレイム(ゴールデン・グローリー)と対戦したが無念のノーコンテストに終わった。ミドル級の秋山成勲(フリー)、ライト級の青木真也(パラエストラ東京)はワンマッチでそれぞれ完勝し、自らの強さを証明してみせた。
(写真:チャンピオンベルトを巻き喜びの表情を浮かべるムサシ) 
 ムサシはベスト4に名を連ねたが優勝候補とは言えない存在だった。しかし終わってみれば、準決勝でメルヴィン・マヌーフ(ショー・タイム)、決勝でジャカレイと強敵を連覇しての戴冠。 準決勝でミドル級最強のストライカーをわずか88秒で葬ったことが優勝への流れを作った。決勝のジャカレイ戦もあっという間に勝負がついた。互いに様子を窺っていた1ラウンド2分15秒。マウントで下の体勢になったムサシの蹴り上げがカウターであごにヒットし、ジャカレイは失神した。
 準決勝、決勝共に幸運な部分があったことは否めない。しかし、23歳の若武者がミドル級初代王者のベルトを手にし、追われる存在になったことは事実だ。試合後、ムサシはファンの要望があれば秋山戦に応じる意向を表面。また、その試合で勝利すればベビー級に階級を上げてのK-1参戦にも意欲をみせた。

 ミルコにとって約半年ぶりのDREAMのリングは後味の悪いものになった。勢いに乗るアリスターを血祭りに上げ、PRIDE時代からの標的、エメリヤーエンコ・ヒョードル(レッドデビル・スポーツクラブ)との対戦にこぎつける腹積もりだった。しかし、結果はノーコンテスト。アリスターのヒザがミルコの下腹部に直撃し、試合続行不能となった。ミルコは病院に直行し、観戦に訪れていたヒョードルに挑戦状を叩きつけることができなかった。
 試合を振り替えるとアリスターの独壇場だった。アリスターはパンチでミルコを圧倒し、容易くマウントを奪ってみせた。ノーコンテストを引き起こしたヒザ蹴りもアグレッシブに攻め続けた結果だった。試合後、アリスターは「KOか一本で勝ちたかった。しかし、自分がよりベターな選手であると証明できたし、いつでもミルコを仕留められる試合だった」と語り、自らの強さに自信を深めた。
(写真:試合を支配していたのはアリスターだった)

 ミドル級ワンマッチに登場した秋山は外岡真徳(正道会館)を腕ひしぎ逆十字固めで一本勝ちをおさめた。寝技で試合を完全にコントロールし、空手の達人に何もさせない圧勝だった。試合後のリングでは秋山の吉田秀彦(吉田道場)への対戦要求が飛び出した。“戦極のエース”との柔道王対決が実現すれば日本中の注目を集めそうだ。
(写真:秋山はいとも容易く一本を奪ってみせた)

 5戦目のDREAMとなった青木はトッド・ムーア(チーム・サード・コラム)を1分10秒で秒殺した。背中に飛び乗ってからの裸締め。一瞬で一本を奪ってみせた。試合後、青木は秋山に続き、リングで対戦要求をする。その相手はなんと秋山。「秋山“マイケル・ジャクソン” 成勲先輩。ネバーランドでめちゃくちゃワオワオしませんか」(秋山のことをマイケル・ジャクソンと呼んだのは、秋山が韓国での自身の人気をマイケル・ジャクソンだとインタビューで言ったため)。DREAMミドル級、ライト級の日本人エースの激突が決まれば大きな話題となることは間違いない。
(写真:青木は得意のチョークで一瞬にして試合を終わらせた)

 所英男(チームZST)は“KIDの一番弟子”山本篤(KRAZY BEE)とフェザー級ワンマッチで対戦したが、判定(3−0)負けを喫した。山本はKID譲りの早いテンポでパンチを放ち試合を優位にすすめる。2ラウンド終了間際、所が腕を極めかけた場面もあったが時間が足りなかった。所のKID戦実現の夢は“KIDの一番弟子”によって打ち砕かれた。

<第1試合>※ミドル級準決勝リザーブマッチ
○アンドリュース・ナカハラ (ブラジル/極真会館)
2R30秒 レフェリーストップ
×ユン・ドンシク(韓国/チーム ユン)

<第2試合>※ミドル級グランプリ準決勝
○ゲガール・ムサシ (オランダ/team Mousasi/Red Devil International)
1R1分28秒 三角絞め
×メルヴィン・マヌーフ(オランダ/ショー・タイム)

<第3試合>※ミドル級グランプリ準決勝
○ホナウド・ジャカレイ (ブラジル/アスレ マナウスーエクストリームクートゥア)
1R1分27秒 腕ひしぎ逆十字固め
×ゼルグ“弁慶”ガレシック(クロアチア/チーム・トロージャン)

<第4試合>※ライト級ワンマッチ
○中村K太郎 (和術慧舟會東京本部)
2R判定 2−1
×アドリーノ・マルチンス(ブラジル/KRAZY BEE)

<第5試合>※ヘビー級ワンマッチ
○セルゲイ・ハリートーノフ (ロシア/CLUB VOLK HAN)
1R2分15秒 KO
×ジミー・アンブリッツ(アメリカ)

<第6試合>※フェザー級ワンマッチ
○山本篤 (KRAZY BEE)
2R判定 3−0
×所英男(チームZST)

<第7試合>※ミドル級ワンマッチ
○船木誠勝 (ARMS)
1R52秒 踵固め
×ミノワマン(フリー)

<第8試合>※ウェルター級ワンマッチ
○桜井“マッハ”速人 (マッハ道場)
2R判定 3−0
×弘中邦佳(Academia Az)

<第9試合>※ミドル級ワンマッチ
○秋山成勲 (フリー)
1R6分26秒 腕ひしぎ逆十字固め
×外岡真徳(正道会館)

<第10試合>※ライト級ワンマッチ
○青木真也 (パラエストラ東京)
1R1分10秒 裸締め
×トッド・ムーア(アメリカ/チーム・サード・コラム)

<第11試合>※ヘビー級ワンマッチ
アリスター・オーフレイム(ゴールデン・グローリー)
1R6分9秒 ノーコンテスト
ミルコ・クロコップ(クロアチア/チーム・クロコップ)

<第12試合>※ミドル級グランプリ決勝
○ゲガール・ムサシ (オランダ/team Mousasi/Red Devil International)
1R2分15秒 KO
×ホナウド・ジャカレイ(ブラジル/アスレ マナウスーエクストリームクートゥア)