「DREAM.6 ミドル級グランプリ決勝戦」(23日、さいたまスーパーアリーナ)の一夜明け会見が24日、都内ホテルで行われた。会見にはミドル級GPを制したゲガール・ムサシ(team Mousasi/Red Devil International)、秋山成勲(フリー)らワンマッチに勝利した日本人6選手が出席した。会見ではムサシと青木真也(パラエストラ東京)が秋山に、秋山は吉田秀彦(吉田道場)に対戦要求を行うピリピリムードが漂った。
(写真:会見に出席した7選手。(左から)中村K太郎、桜井“マッハ”速人、青木、ムサシ、秋山、山本篤、船木)
 秋山は外岡真徳(正道会館)から一本勝ちをおさめたリング上で対戦相手に吉田の名前を出した。一夜明けても、「大晦日は吉田先輩しか考えられない。吉田先輩は越えなくてはいけない最後の壁」と対戦への意欲を力説した。また、DREAM.6のテレビ中継で自身が最高視聴率(13.4%)を叩き出したことを知ると、「素直に嬉しい。しかし、自分よりもいい試合をしていた選手がたくさんいたので、彼らの方を皆さんにみてほしい」と周囲を気づかう一面も見せた。
(写真:会見で話題を独占した秋山)

 ところが、準決勝でメルヴィン・マヌーフ(ショー・タイム)、決勝でホナウド・ジャカレイ(アスレ マナウスーエクストリームクートゥア)と強敵を連破し、初代ミドル級王者に輝いたムサシの次なるターゲットに秋山を指名した。「多くのファンはミドル級GPに不参加だった秋山と自分の対戦を望んでいるんじゃないだろうか」。ムサシの申し出に対して秋山は、「リスペクトしてくれるのはうれしいが、いきなりタイトルマッチをするよりもトーナメントを勝ち抜く方が自分に合っている」と乗り気ではなかった。

 自他共に認める“DREAMの大黒柱”である青木も秋山に噛み付いた。「(秋山と)試合をさせてもらえるのであれば、正々堂々と戦う。僕は真剣に精一杯、格闘技を続けていきたい」と言い、秋山が吉田戦を望んだことについて、「僕は3月から一生懸命DREAMで戦ってきたのに、他団体の選手の名前を出されたことが残念です」と悔しさを滲ませた。だが、青木の要求にも秋山の返事はNO。「興味がないです」と切りすてた。

 一連の応酬を受けて笹原圭一イベントプロデューサーは、「ファンが期待するカードを組むのが我々の仕事。誰と誰の戦いがみたいのか、声を集める必要がある。気運の高まった試合を実現するために全力を尽くします」と大晦日のマッチメイクにアンケートの結果を反映させることを明言した。また、「大晦日は1年で1番格闘技に注目が集まる勝負の1日。階級を越えた戦いなど、普段はみられない試合を組みたい」と展望を語った。

 秋山は2006年大晦日、桜庭和志(Laughter7)戦での“クリーム塗布事件”以来、完全にヒールとして定着した。今や入場時の大ブーイングは定番になりつつある。一方で秋山が最も注目を集める総合格闘家であることも事実だ。現在、秋山との対戦に意欲をみせるのも、ムサシ、青木、マヌーフ、船木誠勝(ARMS)と実力者ばかりである。しかし、秋山の標的はあくまでも吉田秀彦のようだ。戦極のリングで戦う吉田との対戦にはいくつもの障害があるが、実現すれば大晦日の目玉となることは間違いない。今後3カ月間、秋山とDREAMの動向から目が離せない。