2年目を迎えたBCリーグもいよいよ大詰めを迎え、2日からは地区チャンピオンシップが行われる。上信越地区のチャンピオンを目指すのは前期覇者の新潟アルビレックスBCと、創設1年目ながら見事、後期優勝を果たした群馬ダイヤモンドペガサス。北陸地区は昨季も最後まで優勝を争った富山サンダーバーズと石川ミリオンスターズの2チームだ。地区を制すれば、リーグチャンピオンシップ、さらには四国・九州アイランドリーグチャンピオンとのグランドチャンピオンシップへとつながる。どのチームも仕上がりは順調で、口をそろえて「一番最後(グランドチャンピオンシップ)までユニホームを着ていたい」と強い意気込みを見せている。短期決戦ならではの緊張感にあふれた熱戦が期待できそうだ。
〜 上信越地区 〜

【新潟】前期:19勝13敗4分 後期:14勝16敗6分 群馬との対戦成績:7勝10敗2分
 昨季、18勝52敗と不甲斐ない成績でリーグ最下位に終わった新潟だが、今季はアイランドリーグの香川ミリオンスターズを優勝に導いた手腕をもつ芦沢真矢監督の指導の下、先発投手を柱とした“勝てるチーム”へと変貌を遂げた。前期は群馬との首位争いを制し、優勝。早々とプレーオフ進出を決めたものの、後期に入るとなかなか調子が上がらず、序盤には7連敗を喫した。特に地区チャンピオンを争う群馬には1勝6敗2分と大きく負け越した。それでも芦沢監督に不安はないようだ。
「負けた試合は全て四球やエラーで自滅したもの。普段通りの力を出せば、それほど大量失点はない。先発の三本柱である藤井了、中山大の調子も上向き。前半には使えなかった投手もここにきて成長を見せてくれている。打線もシーズン終盤は元気がなかったが、プレーオフはアドレナリンが大量に出るでしょうから、きっと大丈夫だと信じている。
 群馬は打線がいいチーム。特に1番・山田憲選手を調子づけてしまうと、やっかいなことになるので気をつけたい。厳しい戦いになると思うが、普段通り先発投手がゲームをつくれれば、勝機は十分にある」

【群馬】前期:19勝15敗2分 後期:18勝9敗9分 新潟との対戦成績:10勝7敗2分
「前期は育成、後期は優勝を目指す」という年間計画通り、球団創設1年目ながらプレーオフ進出を果たした群馬。前期は激しい死闘を繰り広げた新潟との優勝争いに僅差で敗れたが、後期はその新潟に6勝1敗2分と大きく勝ち越した。5連勝で後期の最後を締めくくり、今最も波に乗っている。チームの雰囲気もいいと澤井良輔コーチは自信をのぞかせた。
「前期は新潟に4勝5敗と負け越し、悔しい思いをした。しかし、そのおかげで選手の間には“新潟には絶対に負けたくない”という気持ちが芽生え、それが後期の好調につながったのだと思う。
 短期決戦では小さなミスが命取りになる。新潟は先発の柱がしっかりしているので、チャンスはそう多くはないだろう。数少ないチャンスで一気にたたみかけていきたい。そのためにもミスなく、守りでリズムをつくっていきたい。
 また、短期決戦ではラッキーボーイの活躍が勝敗を分けることがよくある。山田、井野口祐介は厳しいマークにあうことが予測されるので、その前後の青木清隆、川村修司あたりに期待したい」


〜 北陸地区 〜

【富山】前期:19勝15敗2分 後期:16勝12敗8分 石川との対戦成績:6勝7敗5分
 初年度王者の石川を退け、前後期ともに優勝した富山。昨季のような打線に爆発力はないが、投打のバランスのよさはリーグ一といえる。しかし、開幕前は不安視する声も少なくなかった。打点王の井野口や技術的にも精神的にも支柱だった宮地克彦が抜け、さらに昨季はエースとしてチーム一の勝ち星を挙げた小園司が昨秋にヒジを痛めて出遅れた。
そこに救世主として現れたのが愛媛マンダリンパイレーツから移籍した小山内大和だ。小山内はリーグトップタイの15勝をマークし、防御率も1.42と抜群の安定感を見せた。23試合投げて10試合完投とスタミナもある。打線は今季も野原祐也が大黒柱。昨季、本塁打と打率の2冠に輝いた主砲へのマークが厳しく、前期の序盤はなかなか本来の力を発揮することができずにいた。しかし、徐々に調子を取り戻し、現在では打率、本塁打、打点、そして盗塁でもリーグトップ5の座をキープしている。3試合のうち1勝すれば、リーグチャンピオンシップへの出場権を得ることができるとあって、選手もリラックスしている様子だ。「しかし、勝負ごとは何が起きるかわからない」と鈴木康友監督は気を引き締める。
「石川はエースの南和彰投手をはじめ、蛇澤敦、都卓磨投手、山崎猛志と投手陣がそろっている。やはり、今回も勝敗のポイントはうちの打線が石川の投手陣を攻略することができるか。野原、町田一也の4、5番の前にチャンスをつくり、そのチャンスをいかすことができるかがカギとなる。
 投手も小山内には全幅の信頼を寄せているし、出遅れていた小園も復帰し、今では守護神として後ろを安心して任せられる。普段通りの野球ができれば、おのずと結果は見えてくる」

【石川】前期:15勝14敗7分 後期:16勝16敗4分 富山との対戦成績:7勝6敗5分
 ディフェンディングチャンピオンながら、前後期ともに2位に終わった石川。リーグチャンピオンシップに進出するには3戦全勝しなければならないという非常に厳しい状況下に置かれている。しかし、富山にはわずかながら勝ち越し、相性は決して悪くない。また昨季、優勝の最大の要因となった投手力は今季も健在で防御率、与四球、失点はいずれもリーグトップの成績を誇る。そのため、金森栄治監督は打線がカギとなると予想する。
「投手が抑えるという大前提の上で、打線が少ないチャンスをモノにできるかが勝負となる。ここ一番でタイムリーが出れば、勝機も見えてくるはずだ。富山は走攻守バランスのとれたチームだが、自分たちらしく守り勝つ野球をするだけ。3戦全勝と厳しい条件ではあるが、1戦1戦、チャンスをつなげていきたい」