来年3月に開かれる第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の体制検討会議が15日、都内で行われた。会議には加藤良三コミッショナーを筆頭に、第1回WBC代表監督を務め、今回コミッショナー特別顧問に就任した福岡ソフトバンク・王貞治前監督、星野仙一・北京五輪代表監督、東北楽天・野村克也監督、東京ヤクルト・高田繁監督、野球評論家の野村謙二郎氏が出席。会議を終えた加藤コミッショナーは「監督の人選は急がなくてはいけない」としながらも、具体的な人選は次回以降に持ち越された。また、選手選考の参考とするため、12球団の監督に代表チームの具体的なメンバーについてアンケートをとることが決まった。
(写真:「今日は顔合わせみたいなもの」と会議の感想を語った王特別顧問)
「残念ながら具体的な決定には至らなかった。アウトラインまでで終わった」
 1時間30分にわたった会議を王特別顧問はこう振り返った。注目を集めた代表監督に関して特定の名前が挙がることはなかった。ただ、「(12球団の)現役監督であるか現役でないかにこだわらないで、ふさわしい人ということで考えるべき」(王特別顧問)と幅広く人選を行う考えを示した。しかし、実際には「一般的に現役監督が務めるのは並大抵ではない」と加藤コミッショナーが語るなど、12球団の監督を積極的に推す声は出なかった。

 前回のWBCを制した日本だが、来春の大会はたやすく連覇を口にできる状況にない。まさかの予選敗退を喫した開催国・米国をはじめ、各国が大会に照準を合わせて準備を重ねてくることは想像に難くない。しかもオールプロで臨んだ8月の北京五輪で日本はメダルなしの惨敗を喫した。「第1回(WBC)も前日までは負けたと思っていた。メキシコが米国に勝ってくれて、決勝トーナメントでうまくいっただけ。逆に五輪では決勝トーナメントがうまくいかなかった。最終的には決勝トーナメントで、どう流れを持ってきたかだけの違いだと思う」。前回大会の指揮を執った王特別顧問は「まずは予選突破することが大変」との認識を示した。

 厳しい戦いを勝ち抜くためにも、今まで以上に12球団が一致団結した体制をつくることは必要不可欠だ。12球団の指揮官に代表チームのメンバーについてアンケートをとる目的を「みんなが参加しているんだという意識を持ってもらう」ためと王特別顧問は説明した。アンケートについて、加藤コミッショナーは「細かいフォーマットを決めてお願いするわけではない」としながらも、「28選手の枠内でメジャーも含めて最善のチームの像を描いてほしい」と期待をこめた。最終的なチーム編成は代表監督に委ねられるが、アンケートの結果は選手選考の参考資料として活用する。メジャーリーガーも含めた代表候補には日本シリーズが終了次第、打診を行う構えだ。
(写真:「誰がなっても監督になる人は大変」と語る加藤コミッショナー)

 とはいえ、指揮する監督が決まらなければ、選手選考も前へ進まない。「今度は名前を出さないと時間的に遅れてしまう。もう1回、集まってオープンな形でやったほうがいい」(王特別顧問)。今後は早急に12球団にアンケートを送付した上で、日本シリーズ前にも第2回の会議を開催し、監督候補の検討に入る予定だ。

「WBCだけじゃなく、これから出てくる問題、これまでも出ているいろいろな問題について野球を知っている人たちが意見を言う場は必要」
 王特別顧問はそうそうたるメンバーが揃った会議の意義を強調した。これまでコミッショナーやフロントサイドが主導して物事を決めていた球界において、現場経験者の意見を聞く機会をつくったのは画期的なことだ。しかし、せっかくのトップ会合が「顔合わせ」で終わったのはもったいなかった。事前に議題を決めておくなど、もう少しすりあわせが必要だった感は否めない。次回の会議では総論ではなく、監督選考を中心とした突っ込んだ議論が聞きたいところだ。