WBC世界バンタム級タイトルマッチ(16日、代々木第一体育館)で7度目の防衛に成功した長谷川穂積(真正)が、試合から一夜明けた17日、都内ホテルで会見を行った。2戦連続の秒殺KO劇に、「今回はボコボコになることを覚悟したが、キレイな顔で終われて一安心」と喜びを噛み締めた。
(写真:家族と喜びを分かち合う長谷川)
 前夜倒したアレハンドロ・バルデス(メキシコ)は長身のサウスポーで4年間無敗。その難敵をわずか341秒で完封してみせた長谷川は、「試合中に関して収穫はないが、試合に向けた練習で得たものはある。課題は右が出なかったことと、1ラウンドに右ジャブをもらいすぎたこと」と試合を振り返った。

 次戦はWBC同級1位のブシ・マリンガ(南アフリカ)との指名試合となることが有力だ。長谷川はマリンガの印象を、「左のファイター。今回(バルデス)よりリーチがないので噛み合うと思う」と述べた。山下正人真正ジム会長は「バルデス戦のために特訓したサウスポー対策が次で生かせる」と語り、時期に関しては白紙状態を強調したが、「来年の3月頃」と見通しを示した。王者と“チーム・ハセガワ”にとって、この秋は束の間の休息となりそうだ。

 2007年9月、長谷川は専属トレーナーだった現山下会長の独立に伴い、千里馬神戸ジムから真正ジムへ移籍した。08年は3度防衛戦を戦い、3勝2KO。この成績に本人も、「最高の1年」と振り返った。念願の海外進出、階級を上げての2階級制覇、防衛記録の更新――。09年、長谷川のチャンピオンロードはどの道を選択するのか、“日本のエース”の拳に大きな期待が寄せられる。