30日に都内で行われたNPBドラフト会議で四国・九州アイランドリーグからは育成選手を含めて6名が指名を受けた。オリックスが5巡目で西川雅人(愛媛)、福岡ソフトバンクが6巡目でキム・ムヨン(福岡)を獲得。育成枠で東京ヤクルトが塚本浩二、東北楽天が丈武、千葉ロッテが生山裕人、ソフトバンクが堂上隼人(いずれも香川)を指名した。

(写真:「三振が取れる投手」として指名された西川)
 球団別では香川が育成ながら4名の大量指名。特に塚本、丈武、堂上はリーグを代表する選手として毎年、期待されていただけに、念願のNPB入りとなった。アイランドリーグの選手が本ドラフトで2名、指名を受けたのは、深沢和帆(香川−巨人)、角中勝也(高知−千葉ロッテ)が入団を決めた06年以来、最多タイ。また育成を含めて6選手が指名を受けたのも昨年に引き続き、最多タイ。これでリーグ創設以来、4年連続でのNPBプレーヤー輩出となり、首脳陣、関係者にとってはうれしい1日となった。

<指名選手ら、喜びの声>

愛媛・西川雅人(オリックス5巡目)
 登板数、三振数でアピール
 びっくりした。オリックスは地元の球団で小さい頃から試合を見ていた。アイランドリーグでは毎日、肩をつくって連投も経験した。調子の波もそれほどなく、シーズンを通じての登板数(42試合)、三振数(52回で69個)が評価されたのだと思う。パ・リーグには強打者も多いが、気持ちを強く持って、相手に立ち向かっていくつもりだ。NPBでも信頼される抑え投手を目指したい。
【プロフィール】
 1982年6月17日、兵庫県出身。岡山理科大付属高から大阪学院大へ。大学時代から速球を武器に注目を集める。三菱重工神戸を経て、今年2月に愛媛へ入団。クローザーとして42試合で3勝0敗13セーブ、防御率1.38。チームの後期優勝に貢献した。「投手はゲームを動かす重要なポジション」(大石大二郎監督)とピッチャー重視のドラフト戦略の下、攻撃的な投球スタイルが高く評価された。

 愛媛・沖泰司監督
 梶本と切磋琢磨を
 育成ではない形で評価していただいたことに感謝したい。シーズン通して活躍したことで、成長を示せたのでは? 真っすぐを生かすボールを身につければ、1軍で活躍できるはずだ。(昨年のドラフトで指名された)梶本(達哉)をライバルとして切磋琢磨してほしい。

福岡・キム・ムヨン(ソフトバンク6巡目)
 目指すは斉藤和巳
 うれしい。ソフトバンクは2軍と交流試合で何度か対戦したが、選手がしっかりしていて強いイメージがある。アイランドリーグではケガしない体つくりとコース、コースを突く投球術を身につけることができた。ソフトバンクで目標としているのは斉藤和巳さん。クローザーも好きだが、チャンスがあれば先発にも挑戦してみたい。
【プロフィール】
 1985年11月22日、韓国出身。15歳で来日し、山口・早鞆高、福岡経済大を経て、今季よりリーグに新規参入した福岡に入団。チームの守護神として35試合に登板して、2勝0敗17セーブ(リーグ2位)、防御率0.41の成績を残した。MAX150キロのストレートとフォーク、カットボールを武器に打者から空振りを取れるところが強み。「中継ぎ、セットアッパーがほしい」(秋山幸二監督)との方針で指名が決まった。

 福岡・森山良二監督
 悔しさをぶつけてくれた
 名前を呼ばれるまでは、かなりドキドキした。春のキャンプではひざが痛い、腰が痛いと言っていたが、「そんなことではプロに行けないぞ」と注意すると弱音を吐かなくなった。昨年、指名漏れした悔しさをシーズンにぶつけてくれた。NPBではフォークボールの制球と下半身を使って低めに伸びのあるストレートを投げることを意識してほしい。

香川・丈武(楽天育成1巡目)
 野村監督にアピール
 やっぱり楽天といえば野村監督。監督にはどんなボールでもくらいついていく姿勢をまずはアピールしたい。
【プロフィール】
 1981年11月29日、茨城県出身。本名は森田丈武。山梨学院大付属高、三菱自動車岡崎などを経て、2年間、米独立リーグに在籍した経験もある。アイランドリーグでは06年より香川に入団。1年目から4番に座り、07年には前期MVPと本塁打、打点の2冠を獲得。今季も7本塁打、52打点で2年連続2冠に輝いた。守りではショートのポジションにも挑戦。長打力と勝負強さが評価を受けた。

香川・塚本浩二(ヤクルト育成2巡目)
 三輪と神宮で活躍を
 今シーズンは夏場に入っても、相手に打ち込まれることがないよう工夫できた。三輪(正義)とチームメイトになるので、神宮でともに活躍できるよう頑張る。
【プロフィール】
 1982年1月18日、大阪府出身。豊中高から神戸大、ワイテックを経て、06年より香川へ。アンダースローから直球、カーブ、シンカーを投げ込む。今年は14勝3敗1セーブ、防御率1.67(リーグ2位)。エースとして2年連続独立リーグ日本一に貢献した。セ界の渡辺俊介として活躍が期待されている。

香川・生山裕人(ロッテ育成4巡目)
 足でアピール
 正直、信じられない。僕には足しかない。売りになるものを持っていないと這い上がれない世界なので、どんどん足でアピールしたい。
【プロフィール】
 1985年8月10日、大阪府出身。天王子高、近畿大学、八尾ベースボールクラブを経て、07年より香川へ。俊足と広角に打てる打撃が持ち味。昨季は60試合で打率.271。今季は48試合で打率.221と振るわなかったが、将来性を見込まれての指名となった。

香川・堂上隼人(ソフトバンク育成5巡目)
 あきらめなくてよかった
 あきらめず野球を続けてきたことが今日につながった。今まで必死にやってきたからこそ、今があるのだと思う。この姿勢をNPBでも忘れないようにしたい。
【プロフィール】
 1982年3月12日、神奈川県出身。強肩と強打が売りの大型捕手。横浜商大時代には日米大学野球の日本代表にも選ばれ、ドラフト候補にも挙がっていた。日産自動車を経て06年、香川に途中入団。いきなり首位打者と本塁打の2冠に輝き、香川の優勝に貢献した。07年も2年連続の後期MVPと、独立リーグ・グランドチャンピオンシップ初代MVPを獲得。今季は開幕前にボストン・レッドソックスとのマイナー契約の話も浮上していた。
 ※FORZA SHIKOKUで5月に掲載した堂上選手の特集はこちら
>>第1回「レッドソックスが注目する扇の要」
>>第2回「松坂からのアドバイス」
>>第3回「ドラフト指名漏れをバネに」
>>第4回「目指すは城島健司」

 香川・西田真二監督
 1年目に勝負をかけろ!
 主力選手を評価し、獲得していただいたことをうれしく思う。生山を除いては年齢が高いので、1年目が勝負。1軍でバリバリ活躍できるよう頑張ってほしい。

 香川・加藤博人コーチ
 塚本は左打者攻略がカギ
 塚本はコンスタントにいいピッチングをしてたことが評価されたのだろう。ヤクルトのスカウト部長が球場に来た時に、好投をみせたのも決め手になったはずだ。セ・リーグでサブマリンは珍しい。左の強打者を打ち取ることができれば、おもしろい存在になると信じている。


次の100年へ。太陽石油から、SOLATOはじまります。
SOLATOは、アイランドリーグのオフィシャルスポンサーです。
[/color][/size]