「K-1 WORLD MAX2009 日本代表決定トーナメント」が23日、東京・国立代々木競技場第1体育館で行われ、小比類巻太信(BRAVI RAGAZZI)が決勝で、山本優弥(青春塾)を3−0の判定で下し、4年ぶり3度目の優勝を飾った。小比類巻は初戦で2年前にまさかの敗戦を喫したアンディ・オロゴン(チームオロゴン)を判定で破ると、準決勝は前年覇者の城戸康裕(谷山ジム)を2RKO。決勝では互いにダウンを奪い合う打撃戦を制した。
(写真:決勝で山本を攻める小比類巻)
「おまちどうさまでした」
 1万人を超える観衆の前で、開口一番、復活宣言をした。04年、05年と日本代表決定トーナメントを連覇。かつては魔裟斗のライバルと称された男が日本の頂点に返り咲いた。

 ひとつのヤマは初戦にあった。対戦相手はアンディ・オロゴン。07年の同じ舞台では、素人同然だったオロゴンにダウンを奪われる苦杯を舐めた。「試合前から挑発されて、顔もみたくなかった」。因縁の対決を意識しすぎるあまり、動きが固かった。立ち上がりからクリンチが目立ち、3Rにはレフェリーから減点1が言い渡された。「何やってるんだ、オレ」。ようやく最後は連打が出たが勝負は判定へ。オロゴンの減量失敗による減点に助けられ、なんとか準決勝にコマを進めた。

 ただ、初戦を突破したことで気が楽になった。準決勝は1回戦に日菜太に敗れながら、敗者復活で上がってきた城戸との対戦。1Rこそ様子をみたが、2Rに入って一気に攻めた。「パンチで倒れた記憶がない」という前回チャンピオンに左フックを浴びせ、マットに沈める。一度は立ち上がった相手を再び右の拳でとらえ、KO勝ちをおさめた。

 決勝はTATSUJI(アイアンアックス)、長島☆自演乙☆雄一郎(魁塾)を倒して勝ち上がってきた山本との顔合わせだった。「(小比類巻は)パンチが苦手。ツキがある」。初の決勝に臨んだ山本は立ち上がりから攻勢をみせる。右、左とパンチを繰り出し、キックもみせる。しかし、ここを小比類巻は冷静に対処した。ローキックで相手の出足を止めると、次第にペースをつかむ。終了間際には右フックを決めて山本に両ひざをつかせた。

 2Rも慌てることなく機会をうかがい、後半に入って攻めに転じる。豊富な経験を生かした試合運びでポイントで大きくリードを奪った。だが、3Rは「気を抜いてしまった」。山本の右ストレートが顔面を直撃。尻をついてダウンしてしまう。チャンス到来とばかりに前にでる山本に小比類巻もひざ蹴りで応戦。決勝にふさわしい激しい打ち合いが展開された。

 それでも、もう下がることはなかった。「自分で望んで出た大会だったが、早くここから脱出しなきゃと思っていた」。勝利への執念をむき出しにして、山本をコーナーに追い詰め、終了のゴングを聞いた。28−26、28−27、27−26。僅差ながら、判定はすべて小比類巻を支持。長い回り道の末、ようやく世界の舞台に戻る権利を得た。
(写真:優勝を決め、「動ける自分に近づいてきた」と手ごたえを語る小比類巻)
 
「昨年、おととしとみっともない姿をみせてきたが、今年から、このリングで新たなスタートを切りたい」
 小比類巻は日本代表として4月に行われる「K-1 WORLD MAX 2009開幕戦」(マリンメッセ福岡)に出場する。

 各試合の結果は以下の通り。

<リザーブファイト>
〇白須康仁(花澤ジム)
3R判定 3−0
×尾崎圭司(チームドラゴン)

<オープニングファイト> 
〇我龍真吾(ファイティングマスター)
3R判定 2−0
×大渡博之(正道会館)

<第1試合> ※スーパーファイト K-1 WORLD YOUTH特別ルール
〇HIROYA(フリー)
3R判定 2−0
×才賀紀左衛門(大誠塾)

<第2試合> ※日本代表決定トーナメント1回戦
〇長島☆自演乙☆雄一郎(魁塾)
2R36秒 KO
×HAYATO(フューチャートライブ)

<第3試合> ※日本代表決定トーナメント1回戦
〇山本優弥(青春塾)
3R判定 ドロー 延長1R判定 3−0
×TATSUJI(アイアンアックス)

<第4試合> ※日本代表決定トーナメント1回戦
〇日菜太(湘南格闘クラブ)
3R判定 ドロー 延長1R判定 3−0
×城戸康裕(谷山ジム)
(写真:勝ったものの鼻骨骨折でドクターストップ。無念の表情を浮かべる日菜太)

<第5試合> ※日本代表決定トーナメント1回戦
〇小比類巻太信(BRAVI RAGAZZI)
3R判定 2−0
×アンディ・オロゴン(チームオロゴン)

<第6試合> ※スーパーファイト
〇アルバート・クラウス(オランダ)
3R判定 3−0
×イ・スファン(韓国)

<第7試合> ※日本代表決定トーナメント準決勝
〇山本優弥
3R59秒 TKO(ドクターストップ)
×長島☆自演乙☆雄一郎

<第8試合> ※日本代表決定トーナメント準決勝、日菜太ドクターストップのため、城戸が敗者復活
〇小比類巻太信
2R58秒 KO
×城戸康裕

<第9試合> ※スーパーファイト
〇上松大輔(チームドラゴン)
3R判定 3−0
×渡辺一久(フリー)
(写真:ダウンしそうなところを前転でしのぐなどトリッキーな動きが目立った初参戦の渡辺)

<第10試合> ※スーパーファイト
〇佐藤嘉洋(フルキャスト/名古屋JKファクトリー)
2R1分18秒 KO
×セルゲイ・ゴリアエフ(ロシア)

<第11試合> ※日本代表決定トーナメント決勝
〇小比類巻太信
3R判定 3−0
×山本優弥