第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)の開幕を前日に控えた4日、東京ラウンドに出場する日本、韓国、台湾、中国の各代表が東京ドームで公式練習と前日会見を行った。日本代表の原辰徳監督は「向かう港はひとつ、チャンピオンです」と連覇を力強く宣言。「明日のスターティングピッチャーはダルビッシュ有です」と予告先発した。またイチローが「1番・ライト」で出場することも明らかになった。
(写真:記念撮影に臨む原監督、イチローらサムライジャパン)
「今は大海がなぎの状態になっている。これから大きな波、小さな波がやってくるが、どんな波が来ようとも乗り越えていこうと思っている」
 試合前日の心境を原監督はこう表現した。中国戦のチケットは完売。勝ち上がりが予想される7日の試合の入場券もすべてソールドアウトになった。高まる一方の周囲の期待をよそに、サムライ選手たちはいつもと変わらない様子で、1時間30分の練習を行った。

 3番スタメンが予想される青木宣親が黙々とティーバッティングで打ち込めば、岩村明憲は金色のクラブをはめてセカンドの守備練習を行った。川崎宗則は元気よく、ショート、サードのポジションでそれぞれノックを受けた。「準備は万全です」。前回大会決勝、“神の手”と称された巧みなホームへのスライディングで世界一に貢献した男は、きっぱりと言い切った。

 気になるのはイチローだ。強化試合では2試合ノーヒットと快音が聞かれなかった。しかし、この日の練習では鋭い当たりを連発。数日前までは練習でもすくいあげるような打球が多かったが、弾道は低く速かった。「イチローはサムライジャパンのチームリーダー。イチローが結果を残してチームを引っ張ってくれるのが理想」。原監督はイチローに変わらぬ期待を寄せた。

 ただ、打順は当初の構想だった3番から1番にした。「彼の慣れている打順が一番だから」。状態が決してあがりきっていない中、少しでも負担を軽くしたいとの指揮官の思いが覗く。「オーダーについては伊東(勤)総合コーチにすべてを託しています」。監督自身の口からオーダーを発表することはなかったが、伊東コーチは「イチローは1番です」と明言した。

 先発投手は予定通り、ダルビッシュ有だ。「調整の中でコンディションは上がってきている。ピッチングを楽しみにしている」。その原監督から大役に指名された本人は「つまづいて、大丈夫かな、と思われないように投げたい」と落ち着いた表情で語った。昨夏の北京五輪、開幕のキューバ戦では負け投手。チームに勢いをつけられなかった。自らの役割は言われなくても分かっている。「ピシャと抑えたい。打者のイメージは頭に入っている」

 対する中国の先発は右腕の李晨浩。西武との強化試合では3回途中3失点。しかし、北京五輪では韓国戦で6回途中無失点、米国戦で5回途中2失点とゲームをつくっている。投手陣の層は厚くないだけに、早めに得点を奪ってマウンドから引きずり下ろしたい。

「日本の野球をもってすれば、世界に臆することはないと思っている。不安はない。しっかり戦いたい」
“日本力”の旗印の下、大将・原辰徳に率いられた28名のサムライたちは、5日18時30分、決戦の場に登場する。

(石田洋之)

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 原辰徳×二宮清純 Vol.3 三本柱は松坂、岩隈、ダルビッシュ

二宮: 今大会は投手に球数制限があります。1次ラウンドが70球、2次ラウンドが85球、準決勝と決勝は100球です。どんなに先発ピッチャーの調子が良くても継投策をとらざるを得ません。ピッチャーの見極めに関しては、監督はもちろん、山田久志投手コーチの役割が大きくなるのではないでしょうか。
:   ええ。山田コーチは指導者としても野球人としても経験値は僕よりはるかに上です。何か機会があれば、一緒に野球をやってみたかった。監督になって最初に「ぜひ、ジャパンに入ってもらいたい」とお願いした方です。もちろん、監督である以上、最終決断を下す責任はありますが、よく話し合って投手起用は決めたいなと思っています。

二宮: やはり先発の柱は、あの3人になると?
:   松坂、岩隈、ダルビッシュですね。ここにサウスポーをひとり入れたい。ゲームプランとしては1試合に2人の先発を用意するつもりです。そして彼らをイニングの頭から、きれいな状態でバトンタッチさせるために、間にリリーバーを挟みます。そして最後はクローザーで締める。第1段の先発、第2段の先発、第3段のクローザーと3段構えでいきたいと考えています。

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