第2回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の開幕まで、あと2日。連覇を狙う日本は東京ドームでの第1ラウンドで韓国、台湾、中国と第2ラウンド進出をかけて争う。前回大会でも第1、第2ラウンドと連敗した韓国、若い力で挑む台湾、発展途上の中国――サムライジャパンの前に立ちふさがる各チームの戦力を探ってみた。(Vol.3は韓国編)
(写真:韓国の主砲・李大浩)
韓国 投打の中心不在も戦力充実

 前回大会では1勝2敗、北京五輪では2連敗。プロが参加した国際大会で、日本は韓国に5勝8敗と負け越している。1次ラウンド、2次ラウンドで最大4回ぶつかる可能性のある隣国のチームが、日本の最大のライバルであり、打ち破らなくてはならない壁であることは言うまでもない。

 米国を破ってベスト4まで勝ち進んだ前回大会と比べると投打の柱は不在だ。抑えとして活躍したフィリーズの朴賛浩、7試合で5本塁打を放った李承ヨプ(巨人)は代表入りを辞退した。代表の中軸に座ってきた金東柱も出場をとりやめた。「メンバー構成で悩むところは多い」。前回大会に続いて指揮をとる金寅植監督も代表選考には苦労した。

 ただ、新しく4番に入った金泰均、李大浩とクリーンアップにはパワーヒッターが並ぶ。金泰均は昨季のホームラン王。プロ通算打率も.308と確実性を兼ね備えている。西武との強化試合でも外角のボールをしっかりとらえ、右中間スタンドへ運んだ。李大浩は北京五輪の1次リーグで和田毅から2ランを放ったのが記憶に新しい。

 さらに故障で出場が危ぶまれていた秋信守も所属先のインディアンスの許可がおりた。昨季はメジャーリーグで14本塁打をマーク。秋、金、李からなるクリーンアップの破壊力はアジア1と言っていい。パワーのみならず、トップバッターの李鍾旭を中心に俊足の選手も多く、上位打線を塁に出すと厄介になる。クリーンアップの後を打つと予想される金賢洙も昨季の首位打者(.357)で打線に切れ目がない。

 投手陣は五輪金メダルの原動力となった金広鉉と柳賢振の両左腕が先発の軸だ。金は北京五輪で日本と2度対戦し、13回と3分の1回を3失点に封じた。日本の一流打者に「消えた」と言わしめた高速スライダーが最大の武器だ。今大会でも日本戦の先発が濃厚で、五輪に参加しなかったイチロー、岩村明憲らメジャーリーガーの打撃がカギを握る。

 柳賢振も五輪決勝でキューバ相手に9回途中まで投げ、強力打線を2失点に抑えた。直球と緩い変化球で、韓国リーグではルーキーイヤーから3年連続で2ケタ勝利をマーク。奪三振王にも2度輝いている。両左腕と日本打線の激突が日韓対決の大きなポイントとなるだろう。

 リードをすれば、2人のサイドスローが控えるブルペン陣も強力だ。技巧派の鄭大ヒョンと速球で押す林昌勇。昨季、ヤクルトで33セーブをあげた林は、日本でのオープン戦で打球をひじに当てたが、巨人との強化試合で復帰し、1回無失点と不安を払拭した。この2人が登板する展開になると日本は苦しい。

「この大会は特徴のある試合。球数制限があるため、投手が大事」
 指揮官はWBCの戦い方を熟知している。日本としては先発になるべく球数を投げさせ、早いイニングでマウンドから下ろす展開に持ち込みたい。北京五輪、WBCとも両者の対決は勝っても負けても終盤に大きなヤマが来た。救援陣の見極めと継投も勝敗の分水嶺となる。