WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)2次ラウンドは20日、1組の最終戦が行われ、日本代表が韓国代表を6−2で破り、1位通過を決めた。日本は2−2の同点で迎えた8回、小笠原道大のタイムリーで勝ち越し。その後も得点を追加して、韓国を振り切った。この結果、日本は23日に米国と準決勝を戦う。

 初登板の小松、2回3分の2無失点
日本代表     6 = 020000031
韓国代表     2 = 100000100
(日)内海−小松−田中−山口−○涌井−馬原−藤川
(韓)張ウォン三−李承浩−李在雨−●呉昇桓−金廣鉉−林泰勲
本塁打  (日)内川1号ソロ
       (韓)李机浩3号ソロ
(写真:貴重な同点弾を放った内川)
 守備ではエラーが3つずつ。攻撃では併殺打が2つずつ。投手起用は決勝ラウンドをにらんでのもの……。両チームから過去3試合のような緊迫感は感じられないゲームだった。それでも、これまで出番がなかった選手たち、結果の残せなかった選手たちの活躍でライバル韓国との星を五分に戻した。

 日本の先発は初登板の内海哲也。しかし、緊張からかボールが高めに浮く。先頭の鄭根宇にいきなりセンター前ヒットを許すと、送りバント後、3番の金賢洙にレフトの左を破られる。先制のタイムリー2塁打。ここまでの日韓戦は先制したほうが試合をモノにしており、日本にとってはイヤなムードの立ち上がりとなった。

 流れを変えたのは5番に入った内川聖一だ。直後の2回、内に甘く入ったストレートを叩くと、打球はレフトスタンドへ。あっという間に同点に追いついた。18日の韓国戦では左の奉重根対策で6番に入りながら2打数無安打。「僕自身のダブルプレーで負けたという思いがあった」と語るハマの安打製造機がひとりで1点をもぎとった。

 なおも村田修一、岩村明憲と連打が生まれ、1死後、打席に入ったのは9番の片岡易之。片岡も前回の韓国戦では2番スタメンだったが、3打数無安打に終わった。初球から思い切ってバットを振ると、打球はライトの前にポトリと落ちた。これが勝ち越しタイムリーとなり、日本は1点を勝ち越す。

 投げては内海の後を継いだ小松聖が好投をみせた。内海と同様、今大会初登板。しかし、3回2死1塁の場面で、最初のバッターとなる4番・金泰均のタイミングをうまく外した。カーブで空振り三振。以後もカーブとフォークを決め球に使い、打者9人から5つの三振を奪った。

 途中出場の亀井義行もいい働きをみせた。4回、1塁への走塁で右太ももを痛めた村田に代わって、ピンチランナーとして登場。すぐさま二盗を成功させる。初打席となった6回はライト前へのクリーンヒットで出塁。盗塁でアウトにはなったが、結果を出した。8回は1点を勝ち越し、なおも無死1、2塁の場面できっちり犠牲バントを決める。走者を進めたことが次の岩村明憲の2点タイムリーへつながった。

 とはいえ、日本にとっては諸手をあげて喜べる勝利でなかったのも事実だ。まずは主砲・村田の負傷離脱。原辰徳監督は試合後、村田のケガが重傷であることを明かし、代表候補に入っていた栗原健太を日本から呼び寄せることを決めた。栗原は21日にロサンゼルスへ出発予定だが、準決勝まではほとんど時間がない。ぶっつけ本番となるだけに、多くを期待するのは酷だろう。ここまでチームトップの2本塁打、7打点をあげてきた男の離脱で攻撃力の低下が心配される。

 もうひとつは2−1と1点リードの展開で中押し点が奪えなかったことだ。4回は無死2塁の好機をつくりながら1本が出ず、無得点。7回には先頭の阿部慎之助がヒットで塁に出たが、片岡が送りバントを決められなかった。片岡はなんとか粘って四球を選んだものの、上位打線のイチローがフライをあげ、中島は併殺打に倒れた。直後に韓国は李机浩のソロが出て、同点に追いつく。終盤、韓国が勝ちにこだわる継投をみせていれば、簡単に勝ち越し点は奪えなかっただろう。

 準決勝は日本が松坂大輔、対する米国はジェイク・ピービの先発が予想される。今大会は2試合に先発して0勝1敗、防御率14.40と不調とはいえ、07年には最多勝、最多奪三振、最優秀防御率のタイトルをとった右腕だ。点をとれる時にとっておかないと、手負いの米国も息を吹き返すだろう。1次、2次ラウンドとは異なり、決勝ラウンドは1度負ければ終わり。釈迦に説教かもしれないが、わずか1球、たった1つのプレーが勝敗を左右することを忘れてはならない。

○内川(2回に同点ソロ)
 韓国には2つ負けているので、絶対勝ちたいとの気持ちで臨んだ。左投手を打つために使っていただいているのは分かっている。前の試合(18日の韓国戦)では僕自身のダブルプレーで負けたという思いがあった。悔しい思いを振り切ってやろうと打席に入った。結果が出てよかった。韓国とはまだ2勝2敗なので、お互い勝ち上がって、最後に勝って決着をつけたいと思う。

○小笠原(8回に決勝タイムリー)
 序盤からみんな頑張ってゲームをつくってくれて、あの回もみんながつくったチャンスだった。追い込まれていたが、何とかくらいついて、うまくバットで拾えた。
(準決勝で対戦する米国には)前回、負けている。しっかりとコンディションを整えて、力を合わせて戦いたい。

【準決勝日程】 米国・ロサンゼルス ※日時は日本時間
ゲーム1 ベネズエラ韓国 22日(日)10:00
ゲーム2 日本米国 23日(月) 9:00