MLBの2009シーズンが日本時間7日、本格的に開幕した。昨年の松坂大輔(レッドソックス)に続き、日本人3人目の開幕投手となったロサンゼルス・ドジャースの黒田博樹は6回途中1失点。チームは4−1で勝利し、1勝目をマークした。またニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜は、ボルチモア・オリオールズとの開幕戦に「4番・DH」で出場。7回に今季第1号となる2ランを放った。これで通算本塁打数は445本となり、恩師でもある巨人・長嶋茂雄元監督の記録(444本)を抜いた。
 黒田は立ち上がり、緊張からかボールが甘く入った。先頭打者に初球をライト戦に運ばれ、無死2塁のピンチを迎える。送りバントで1死3塁となったが、3番ブライアン・ジャイルズを低めのボールで打ち取り、ショートゴロ。1点を失ったものの、以後は立ち直った。2回から5回まで許した走者はヒットによるひとりだけ。6回に2死から連打を浴び、初めての四球を与えて降板となったが、先発の役割は果たした。

 昨季も初登板初勝利で幸先よいスタートを切りながら、救援陣に勝ち星を消されたゲームもあり、9勝10敗の成績に終わった。特に2つ目の白星をつかむのに1カ月半を要し、その後は肩痛による戦線離脱も経験した。今季はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)を辞退して、調整に専念し、開幕までの調整は順調。早速、結果を残し、昨季以上の成績が期待できるスタートとなった。

 松井はアレックス・ロドリゲスの負傷により、メジャー7年目で初の開幕4番に座った。しかし、最初の3打席は凡退。チームもFA移籍した先発のC.C.サバシアが5回途中6失点を乱調で、1−6とリードを許す。しかし、ヤンキースは6回に2点を返し、迎えた7回、1死1塁で松井に打順が回ってくる。外寄りの初球を引っ張ると、打球はライトスタンドへ飛び込む2ラン。1点差に詰め寄る貴重な一発が飛び出した。

 開幕戦アーチは06年以来、3年ぶり。同年5月に守備で手首を骨折し、連続試合出場記録が「1768」で途切れた。以降、両ヒザの故障などケガと戦うシーズンが続く。今季は4年契約の最終年で、何より結果が求められる。3年ぶりの開幕弾は呪縛から解き放つ一打となるか。ただ、ヤンキースはその後のリリーフが崩れ、5−10と開幕黒星スタート。新球場1年目で、ワールドチャンピオン奪回を目指すチームにとっては前途多難な船出となった。

 また、クリーブランド・インディアンスの小林雅英はテキサス・レンジャーズ戦で0−7とビハインドの6回に登場。1回を無失点に抑えた。WBCに出場したシカゴ・カブスの福留孝介は、米国代表として日本と対戦したヒューストン・アストロズのロイ・オズワルトの前に無安打に終わった。アストロズの松井稼頭央は3打数1安打の成績だった。

 シアトル・マリナーズの城島健司は「8番・キャッチャー」で出場。WBCベネズエラ代表の先発フェリックス・ヘルナンデスをリードし、ドン・ワカマツ新体制の開幕戦勝利に貢献した。打っては3打数1安打だった。また胃潰瘍のため、初の故障者リストに入っているイチローは順調に回復。最短で15日のロサンゼルス・エンゼルス戦で復帰可能となる。

 また日本人対決が注目されたボストン・レッドソックスとタンパベイ・レイズの試合は雨天中止。レッドソックス・斎藤隆の移籍初登板はお預けになった。WBCで2大会連続MVPに輝いた松坂大輔は10日のレイズ戦での今季初先発が決まっている。

 今季のMLBは、上原浩治(オリオールズ)、川上憲伸(ブレーブス)が日本から移籍し、開幕時点で13人の日本人選手がロースター入り。上原は9日のヤンキース戦で先発デビューの予定で、元同僚の松井秀との対戦が注目される。川上は12日のワシントン・ナショナルズ戦で先発する見込み。マイナーリーグの選手では社会人の新日本石油ENEOSからレッドソックス入りした田澤純一、開幕前にトロント・ブルージェイズを解雇されながら、ニューヨーク・メッツと契約を結びなおしたベテランの高橋建(元広島)らがメジャー昇格を果たせるかも楽しみのひとつだ。