ボクシングのWBCスーパーバンタム級タイトルマッチが日本時間24日、メキシコで行われ、チャンピオンの西岡利晃(帝拳)が挑戦者のジョニー・ゴンザレス(メキシコ)を3回TKOで下し、2度目の防衛に成功した。日本人王者が国外でタイトルを守ったのは、1985年に韓国でWBCスーパーフライ級王座の防衛を果たした渡辺二郎以来24年ぶり。
 西岡は1R、いきなり相手の右をくらってダウン。苦しい立ち上がりとなった。しかし、徐々にリズムを取り戻すと、3Rに左ストレートで相手をとらえ、マットに沈める。相手は何とか立ち上がったが足元がおぼつかず、レフェリーストップがかかった。アウェー戦、かつ劣勢を一発ではね返す逆転劇。防衛を重ねるごとに王者の強さが増してきている。

<内藤の防衛戦、東京開催に急遽変更>

 26日に中国・上海で開催予定だったWBCフライ級タイトルマッチ内藤大助(宮田)−熊朝忠(同級14位、中国)戦が試合3日前に急遽、中止となった。内藤の防衛戦は東京・ディファ有明に会場が変更され、挑戦者と試合日は変えずに実施される予定。ボクシングの世界タイトルマッチの会場が国をまたいで直前に変更されるのは稀。日本人王者による初の中国での世界戦も幻となった。

 内藤は昨年12月に山口真吾(渡嘉敷)を下し、4度目の防衛に成功。次回以降の防衛戦はWBCの指示で同級1位、2位の選手と連続して戦うことが義務付けられていた。しかし、人口13億人の中国での市場開拓に目をつけたWBCは一転、熊朝忠との対戦を承認。本来はライトフライ級で実績の乏しい熊を世界挑戦可能な15位以内にランク付けするなど、試合実現をバックアップしていた。

 ところが直前になって、現地イベントプロモーターに委託していた試合会場の使用許可などの手続きが完了していないことが判明。中国では代替会場を確保する時間もなく、開催を断念することになった。

 通常なら、改めて防衛戦の日時、場所を仕切り直しするところだが、既にこの一戦は同日に横浜で開催される総合格闘技『DREAM9』との二元中継を行うことが決まっていた。その影響で日程を動かすことができず、日本での緊急開催に踏み切らざるを得なかった。内藤自身は24日に上海へ出発予定だったため、まだ日本で調整を続けていた。

 防衛戦実施にこぎつけたとはいえ、チケット販売がギリギリになることから興行収入の見通しは立たない。中国での準備分の経費も含めれば宮田ジム側が多大な損害を被ることが予想される。世界戦にもかかわらず、前座試合を組むこともこの日程では困難で、タイトルマッチ1試合のみの開催になりそう。異例づくしの世界戦の行方が注目される。