「K-1 WORLD MAX2009 WORLD Championship Tournament FINAL8」が13日、日本武道館で行われ、準々決勝4試合など12試合が実施された。メインでは今年いっぱいでの引退を表明している魔裟斗(シルバーウルフ)が登場。DREAMから参戦した川尻達也(T-BLOOD)相手に1Rからダウンを奪うなど、打ち合いで強さをみせ、2R1分43秒でTKO勝ちをおさめた。また5月の「DREAM.9」で1年半ぶりの復帰戦に敗れた山本“KID”徳郁(KRAZY BEE)もスーパーファイトでリングに上がったが、韓国のムエタイ王者チョン・ジェヒ(Busan Taesan)にカウンターをくらい、KO負けを喫した。
(写真:笑顔で快勝劇を振り返る魔裟斗)
 トーナメントの準々決勝では日本勢で唯一勝ち上がった山本優弥(全日本キックボクシング連盟/青春塾)がドラゴ(アルメニア/チームSHOW TIME)を破り、準決勝進出を決めた。その他、ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア/サトリ・グラディエートリウム・ネメシス)、アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング・オランダ)、ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ/ポー.プラムックジム)がベスト4にコマを進めた。

「I am Champion!」
 勝利を決めたリング上で魔裟斗が雄たけびをあげた。立ち上がりからペースをつかみ、最後は連打締め。昨年の大晦日、「Dynamite!!」で武田幸三から鮮やかなKO勝利を奪った川尻を寄せ付けなかった。「最初の予定では3R使って倒そうと思っていた。総合とは距離感が違うので、1Rは相手の出方をチェックするつもりだった」。だが、実際に拳を合わせてみると「(パンチをもらっても)倒れないな」。ファイトプランを変更し、打ち合いに転じた。

「K-1ならワン、ツー、スリーとパンチを出せば、次は足(キック)を出す。総合の選手はバックステップするとどんどんパンチで追いかけてくる」。K-1に不慣れな相手の特徴を冷静に分析し、下がりながらパンチを返し、ワンツーを使ってリズムをつくる。ラウンド後半には右ストレートを的確にヒットさせ、ダウンを奪った。

「右のパンチはきいたんじゃないかな」。2Rは足の止まりかけた川尻をつかまえ、右のフック、アッパーを打ち込む。最後はコーナーに追い込んでラッシュをしかけ、顔面にヒザを入れたところで相手陣営からタオルが投げ込まれた。「予想以上に魔裟斗選手の動きが速くて、思った以上のスピードだった。さすがK-1最強の男です」。前のめりにリングに沈んだ川尻も完敗を認めるしかなかった。

 引退を表明したとはいえ、決して手は抜いていない。「もういいと思うくらい追い込んでいる。30歳にもなって練習で泣きそうになった」。本人も「見るからにパワーアップしている」と手ごたえを感じている。超満員にふくれあがった武道館の観客に強さをみせつけ、引退まで残すはあと1戦。魔裟斗は大晦日にK-1 WORLD MAX世界王者との対戦を希望している。

 今回、ベスト4に進出したファイターの中では「やりたくないのはペトロシアン、サワー」と具体的な名前をあげた。中でもサワーには過去2度の対戦でいずれも敗れている強敵だ。「オレは何かを持っている。たぶんサワーでリベンジして終わるのかなと思った。サワーとやって勝って終われたら最高にいいね」。最終決戦までは5カ月半。「半袖(を着る夏)の時期は楽しく過ごしたい。長袖の時期になったら追い込む」。そう笑顔で今後のプランを明かした。しばしの休息をはさみ、最後の最後まで王者の強さをみせつけるためのカウントダウンがいよいよスタートする。

 試合結果は以下の通り。

<オープニングファイト> 
〇ノ・ジェギル(韓国/KHANジム)
3R2分1秒 KO
×横山剛(CRAZY WOLF)

<第1試合> ※スーパーファイト
〇ジャバル“チンギスハン”アスケロフ(UAE/WMCキャンプ・ラマイ)
3R判定 ドロー 延長1R判定 3−0
×日菜太(湘南格闘クラブ)

<第2試合> ※スーパーファイト 62キロ契約
〇HIROYA(フリー)
3R判定 3−0
×キコ・ロペス(米国/チームクエスト/ボブ・チャネイ・ムエタイ)

<第3試合> ※K-1世界トーナメントFINAL8
〇山本優弥(全日本キックボクシング連盟/青春塾)
3R判定 3−0
×ドラゴ(アルメニア/チームSHOW TIME)

<第4試合> ※K-1世界トーナメントFINAL8
〇ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア/サトリ・グラディエートリイウム・ネメシス)
3R判定 3−0
×アルバート・クラウス(オランダ/チーム・スーパープロ)

<第5試合> ※K-1世界トーナメントFINAL8
〇アンディ・サワー(オランダ/シュートボクシング・オランダ)
3R判定 ドロー 延長1R 3−0
×アルトゥール・キシェンコ(ウクライナ/キャプテンオデッサ)

<第6試合> ※K-1世界トーナメントFINAL8
〇ブアカーオ・ポー.プラムック(タイ/ポー.プラムックジム)
3R判定 3−0
×ニキー“ザ・ナチュラル”ホルツケン(オランダ/ゴールデングローリージム)

<第7試合> ※スーパーファイト 62キロ契約
〇チョン・ジェヒ(韓国/Busan Taesan)
1R1分20秒 KO
×山本“KID”徳郁(KRAZY BEE)
(写真:あえなくダウンし、レフェリーに介抱されるKID)

<第8試合> ※スーパーファイト 62キロ契約
〇渡辺一久(フリー)
1R2分40秒 KO
×山本篤(KRAZY BEE)

<第9試合> ※リザーブファイト
〇城戸康裕(谷山ジム)
3R判定 3−0
×リーロイ・ケスナー(オランダ/チーム・アファファ)

<第10試合> ※リザーブファイト
〇佐藤嘉洋(フルキャスト/名古屋JKファクトリー)
3R判定 ドロー 延長1R 2−1
×ユーリー・メス(オランダ/イッツショータイム)

<第11試合> ※スーパーファイト
〇魔裟斗(シルバーウルフ)
2R1分43秒 TKO(タオル投入)
×川尻達也(T-BLOOD)