21日、陸上世界選手権7日目で男子4×100mリレー予選が行われ、1組に登場した日本(江戸里、塚原、高平、藤光)は38秒53で2位に入り、01年エドモントン大会から5大会連続となる決勝進出を果たした。
 昨年の北京オリンピックで銅メダルを獲得している日本チームは、第2走者の塚原直貴(富士通)と第3走者の高平慎士(富士通)に加え、江里口匡史(早大)と藤光謙司(セーレン)という若い力が加わった。雨の中で行われたレースは第1走の江里口がいい反応を見せ、塚原にバトンタッチ。五輪メダリストの塚原と高平がスピードを乗せアンカーの藤光につなぐときには先頭に躍り出ていた。最後はトリニダード・トバゴに抜かれたものの、藤光が終始安定した走りで2位を確保。世界陸上で5大会連続となる決勝進出を果たした。

 レース後、高平は「普通通りにやれば大丈夫。雨で競技が遅れ、初めてのチームなので不安もあったけど引き締まった。決勝は一つでも上の順位、速いタイムを目指す」と口にし、決勝へ気を引き締めていた。塚原は「最低限のことはできた。一人一人が個人種目で結果を出せなかった悔しい気持ちをバネに、チーム一丸になれたらいい」と、満足のいく結果を収められなかった100mの力を決勝にぶつけることを約束した。

 今大会でもメダル獲得の期待がかけられている日本チームに追い風となりそうなのが、強豪・米国チームの失格だ。2組1位で予選を突破したかにみえた米国だったが、第3走者ショーン・クロフォードと第4走者ダービス・パットンの間でのバトンタッチを巡り、同組2位の英国が審判に異議申し立てを行った。ビデオ判定などに基づき審判団が審議した結果、米国の失格が決まった。

 北京オリンピックでもバトンミスで決勝に残ることができなかった米国。同じ轍を踏まないよう、バトン練習をしっかりと強化してきたはずだったが、大一番で痛恨のミスを犯した。前回大阪大会で3冠を達成したタイソン・ゲイは100mで銀メダルを獲得した後、200mを棄権してまで4×100mに懸け“打倒ボルト”を狙っていた。しかしながら、バトンミスで決勝進出ならず。今大会は無冠に終り、失意の中ベルリンを去ることとなった。

 決勝は22日(現地時間)に行われるが、ウサイン・ボルト擁するジャマイカが北京に続いて世界一の座に就くのか。そしてボルトの手によって、ベルリンで三度、世界記録が樹立されるのか。さらには日本のメダル獲得はなるか。多くの注目を集める決勝レース。スタートが待ちきれない。