千葉ロッテ育成1位・山室公志郎「苦難の末につかんだ春初勝利」 〜ドラフト指名選手直撃インタビューVol.1〜

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 1年前、誰が今の彼を想像できただろうか。山室公志郎は高校時代には「関東No.1右腕」と呼ばれ、甲子園にも出場した。しかし、大学入学後は思うような成績を挙げることができず、とうとう昨年はベンチ入りさえもすることができなかった。「こんなではダメだ」と野球部を辞めようと悩んだ時期もある。だが、それでも周囲に支えられながら続けてきた。そんな彼に一筋の光が差し込んだのは今年4月30日に挙げたリーグ戦初勝利。この1勝がプロ入りへのプロローグとなった。
―― 初勝利した試合は今季初先発。しかも1年半ぶりだったとか。
山室: 前日の試合で投手陣が10四死球も出しちゃって総崩れしてしまったんです。それで監督さんがカンカンに怒ってしまって……。自分たちで明日の先発を決めろと言われてミーティングをしたんですけど、「どうする?」なんて言いながら「山室さん、そろそろ投げてくださいよ」みたいな雰囲気になっちゃったんです。投手ではベンチ入りしている4年が僕一人でしたからね。それで「そう? じゃあ、いっちゃおうか?」って(笑)。でも、やっぱり緊張しましたよ。前日に1イニングを投げていたからよかったですけど、そうでなかったらもっと緊張していたでしょうね。

―― 結果は6回0/3を3安打無失点。
山室: あの時はとにかく集中していましたね。もともと僕のピッチングスタイルって相手とケンカするくらいの気持ちで勝負するんです。あの時も(気持ちでは)ケンカ腰にバッターやベンチと勝負していました。野次を言われても、バッターを抑えてベンチに向かって「どうだ!」みたいな(笑)。

―― その試合で自己最速の154キロをマークした。
山室: 特にトレーニングをしたとかではないんですけどね。むしろ高校の時よりもウエイトトレーニングの量が減っているので体は小さくなっているくらいです。

―― 余分な筋肉はない方がピッチングにはいいと。
山室: どうなんですかね。でも、確かに落としたらスピードは上がりました。ウエイトは減ったといっても、腹筋とか体幹を鍛えたりインナーはやっていますよ。見える部分よりも、そういう細かいことを重要視してやった結果かもしれませんね。

―― 一度もベンチ入りすることができなかった昨年はどんな気持ちでやっていたのか?
山室: 正直、野球部を辞めようと思っていました。実は大学に入って自分への自信をなくしてしまって、3カ月くらいでイップスになっていたんです。他にもいろいろと原因はありましたけどね。イップスになった人にしかわからないと思いますけど、ストレートを投げる時の指先で前に押し出す感覚がいやなんですよ。その時に筋肉がかたまってしまって抜けたり、地面に叩きつけるようなボールになったり……。

―― それでも辞めなかった理由は?
山室: 親もそうですけど、1つ上の先輩たちのおかげです。大学に入って何がよかったって、一番は先輩たちに出会えたことなんです。怒られるときはメチャクチャ怒られましたけど、でも友達感覚で接してもらえてかわいがってもらいました。自分が辞めようか悩んでいた時も、一番仲のいい先輩がちゃんと話を聞いてくれたんです。それが大きかった。
 それと「来年、誰が引っ張っていくんだ? オマエだろう」って言われた時に気づいたんです。レギュラーなんて9人って限られているわけで、それ以外の人数の方が多いんだから、自分がその立場になってもしょうがないじゃないかって。それまでは自分のことでいっぱいいっぱいで周りが見えていなかったんですけど、それからですね、自分が投げられなくてもサポートする立場でいいじゃないかと。それで自分にとってマイナスになることはないって、そう思えるようになったんです。4年になってからは、ピッチャーとして教えられることは後輩たちに教えたいと思いましたし、自分ができることは何でもしていこうと。それが春のああいう結果にあらわれたんだと思います。

 セールスポイントは三振取れるストレート

 春は3試合に先発し、2勝1敗という成績を残した。しかし勝負の秋、山室は一度もマウンドに立つことはなかった。そして迎えたドラフト当日。監督から指名の可能性を聞いていたものの、やはり実績を残していない自分を本当に選んでくれるのか、不安の方が大きかった。ようやく自分の名が呼ばれても実感がわかなかったという山室だが、2週間以上経った今、改めてプロへの扉を開けたことについてどんなふうに思っているのか訊いた。

―― 指名されて監督からの言葉は?
山室: まずは「おめでとう」と。それから育成なので「3年が勝負だぞ」と言われました。

―― ロッテという球団へのイメージは?
山室: ロッテについてはとにかくファンが熱いというイメージがあります。その名も「TEAM26」ですからね。球団に対して意見もちゃんと言いますし。球団に対しては、とにかく自分をとってくれただけで、ありがたいなぁと思っています。

―― プロに入ってからの課題は?
山室: 間違いなく制球力です(笑)! 変化球を投げるにしても、真っすぐがないといきてこない。だからストレートをインロー、アウトロー、インハイ、アウトハイと各コーナーに8割方投げ分けられるようにしたいですね。いえ、投げられるようにしなくちゃいけないと思っています。大学時代はストライクが入ればOKっていう感じでした。それでもスピードがあったからよかったんですけど、プロでそれでは通じませんからね。

―― 制球力を磨くためには?
山室: う〜ん、難しいんですけど、やっぱり軸がブレたらコントロールもブレるので、まずは走ることですね。フォームの土台をつくるうえで足腰がないとコントロールも何もないので。

 小さい頃から遊びといえば野球だった山室。ものごころついた時から「将来の夢」は「プロ野球選手」一本だった。そして今、ようやくそのスタートラインに立とうとしている。プロはこれまで以上に厳しい世界。果たして何を目標としているのか。

―― プロでの目標は?
山室: まずはとにかく支配下に上がること。早ければ早いほどいいので、春のキャンプでどうにかしようかなと目論んでます(笑)。

―― 対戦したいバッターや憧れのピッチャーは?
山室: 涌井秀章さん(埼玉西武)と投げ合いたいですね。僕が高校2年の時、3年生の涌井さんと2度対戦しているんですよ。1回目は春の県大会。僕は2安打1失点だったんですけど、0−1で負けたんです。そして夏は僕の桐光学園と涌井さんの横浜との試合が事実上の決勝戦と言われたんですけど、その時も2−5で負けてしまいました。高2の時が僕のピーク時でしたから悔しかったですね。

―― 自分のセールスポイントは?
山室: 自分の一番の魅力は真っすぐだと思っているので、その真っすぐで三振を取ったときのケンカごし的な態度を見てもらいたですね(笑)。

―― ガッツポーズとか?
山室: いえ、逆にすかしています。見逃し三振とか取ったら「あ、そう」って後ろ向いちゃいますね(笑)。

―― 三振へのこだわりは?
山室: ボールカウントが2−3、2−0だったら見逃しでとるほうが気持ちいいですね。2−0だったら一回も振らせないで三球勝負で仕留めるわけですから。2−3はバッターも打ちにくるカウントですけど、それでも手が出なかったということ。「この状況で決めてやったぞ」みたいな(笑)。

 初めてエースナンバーを外され背番号「10」をつけて出場、県大会から続いた腰痛で実力を発揮することができずに終わった甲子園。初めて1試合も登板しないシーズンを送り、挫折を味わった大学時代――。しかし、こうしたいくつもの苦しみが山室の視野を広げ、そして強い心をもたらした。それら全てがプロの厚い壁を乗り越えるための必要な準備だったのではないか。いよいよこれからが本番。自慢のストレートで千葉マリンスタジアムをわかせる日を心待ちにしたい。

山室公志郎(やまむろ・こうしろう)プロフィール>
1987年7月14日、横浜市生まれ。中学3年時には横浜瀬谷ボーイズで県大会優勝。桐光学園高校時代には1年秋からエースナンバーを背負う。3年時には甲子園に出場し3回戦進出。大学ではリーグ戦初勝利をあげた今春、MAX154キロをマークした。183センチ、82キロ。右投左打。

(聞き手・斎藤寿子)

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