バリバリのメジャーリーガー黒田博樹の復帰もあり、24年ぶりの優勝を目標にスタートを切ったシーズンも、9月1日現在、いよいよ残り28試合。借金4で、首位・阪神から4.5ゲーム差の4位につけている。

 情けないのは、開幕してからここまで1度しか貯金を記録していないこと。5割からちょっと下のラインをウロチョロしている。

 カープの戦力は、近年では最強である。それゆえ開幕前には、多くの評論家がカープを優勝候補にあげていた。

 ところが、下位の横浜DeNA、中日に大きく負け越し、それが原因で低空飛行を余儀なくされている。

 そこで問われるのが、今季から指揮を執る緒方孝市の能力だが、批判よりも「まだ1年目なんだから……」と大目に見る者の方が多いようだ。

 数年後の優勝争いを目指す若いチームなら、それでも構わない。

 今季のカープは勝負だったはずだが……。

 ともあれ、チャンスはまだ残されている。1975年、球団初のリーグ優勝を選手として経験した衣笠祥雄は、9月に入ってからのファンの熱狂を前に「これで負けたら、もう夜逃げするしかない」と腹をくくったという。

 夜逃げという言葉に時代を感じたが、監督にも選手にも、そのくらいの気持ちが必要だろう。優勝を期待されてスタートを切ったシーズンなのだ。最後に見せ場くらいはつくって欲しい。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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