今夏の甲子園はレベルが高い。ドラフト上位で消えそうな選手が、たくさんいる。

 1位での重複指名が予想されるのが東海大相模の小笠原慎之介だ。プロでも150キロ台の快速球を投げ込むサウスポーは、そうはいない。

 ただ速いだけなら、05年、巨人にドラフト1位指名された辻内崇信(大阪桐蔭)の方が上だろう。しかし、辻内のピッチングは「剛」一辺倒で、やわらかみに欠けた。

 翻って、小笠原は腕が振り抜けることに加え、投げっぷりがいい。近年見た高校生サウスポーの中では、埼玉西武の菊池雄星(花巻東)と双璧だろう。

 野手が欲しいのなら、関東一のオコエ瑠偉が一番手だろう。現在はセンターを守っているが、ショートで育てるのもおもしろい。足の速さと肩の強さは規格外だ。

「バッティングには時間がかかる」、との声もあるが、守備だけでもメシがくえそうだ。カープが「育成球団」を名乗るなら、指名を回避する理由はない。

 仙台育英のショート平沢大河も将来性抜群だ。あれだけセンスのあるショートはPL学園時代の立浪和義以来である。上位で消えることは間違いあるまい。

 甲子園未出場組にも高橋純平(県岐阜商)、勝俣翔貴(東海大菅生)、森下暢仁(大分商)らの名前がスカウトのノートには刻まれている。久しぶりの豊作である。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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