カープの得失点差34はリーグトップである。しかし順位は5月19日現在、18勝23敗で5位。翻って横浜DeNAの得失点差はリーグ4位の8ながら、26勝17敗で首位に立っている。

 その理由は1点差ゲームの勝敗。カープが8勝17敗であるのに対し、DeNAは12勝6敗。クロスゲームは、ほとんどものにしている。

 好調DeNAの牽引者はルーキーの山崎康晃だ。クローザーとして0勝1敗16セーブ、防御率2.01という好成績を残している。チームの先輩・佐々木主浩の「大魔神」にならって、「小さな大魔神」というニックネームを載いている。

 この山崎を締めくくり役にもってきた監督の中畑清には先見の明があったということだ。「長いイニングを投げさせると大したことはないが、短いイニングだと素晴らしいピッチングをする」。それがクローザー指名の理由だった。

 山崎はコントロールが良い上に、三振をとれるボールがある。ツーシームの切れはフォークボールと見まがうくらいだ。しかもクロスステップ気味に投げるから、バッターは戸惑うに違いない。

 近代野球は逆算式である。後ろが決まらないことには前も決まらない。かつて横浜が強い頃は「8回までに勝ち越さなければ」というのが他球団の合言葉だった。9回には佐々木がマウンドに上がるため、もう勝ち目はないという意味だ。

 24年ぶりのリーグ優勝を狙うカープにとってDeNAは最大の難敵と言えるかもしれない。直接対決は9試合を終えて2勝7敗。早く対戦成績を五分にもっていきたい。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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