17安打で6得点。実に13残塁。言葉は悪いが、試合後、“残尿感”のようなものを払拭できなかった。

 3月31日の対横浜DeNA戦のことだ。初回にいきなり先発の大瀬良大地がアーロム・バルディリスに満塁ホームランを浴び、今日は一方的な展開になるのかと思われた。

 ところがDeNAの先発・井納翔一もピリッとせず、試合は乱打戦に。5回が終わって6対7。ここまで追い上げれば、誰だって逆転勝ちを期待する。

 しかし、チャンスであと一本が出ない。9安打で7点を奪ったDeNAとは対照的な効率の悪い攻めだった。

 残念ながら、今季はこういうもどかしい試合が多くなるのではないか。4番に予定されていたブラッド・エルドレッドは右ヒザの手術を受け、緒方孝市監督によると復帰は6月にずれこむ見込み。昨季、69試合で14本塁打、49打点を記録したライネル・ロサリオも急性虫垂炎で離脱し、2軍でも調子が上がっていない。

 そうであるならば、エンドランやスチールを多用するなど攻め方を変えなくてはならない。ランナーを溜めてドカンが期待できない以上、モデルチェンジも必要だろう。

 黒田博樹の復帰もあって優勝候補にあげられる今季のカープ。開幕から数試合を見ただけだが、セ・リーグは横一線である。1位から6位までがひしめき合う展開になるのではないか。勝てる試合は確実に勝っておきたい。1点差試合の勝率が最後に明暗を分けそうだ。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)

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