ヤンキースから8年ぶりにカープ復帰した黒田博樹は、キャンプ地の沖縄に入るなり、約80メートルの遠投を行った。その後は小林幹英投手コーチを相手に35球ほどボールを投げた。

 テレビで遠投を見ていて感心した。「いい回転のボールだなぁ……」。つい画面に引き込まれそうになった。

 思い出したのは「日本一の投手コーチ」と言われる福岡ソフトバンク佐藤義則投手コーチの言葉だ。

「大きなフォームでしっかり投げないと、遠くに回転のいいボールはいかない。自分のフォームもつくれない。

 最近のピッチャーだってそうですよ。田中将大(ヤンキース)の遠投は素晴らしかった。彼は自分の調子が悪いと感じたら、率先して遠投をやっていた。

 楽天では則本昴大の遠投も良かったね。彼のボールはアゲインストの風でも、いい回転のボールがビューンと伸びていた。それもレフトのポールからライトのポールくらいの長い距離をしっかり投げるんです」

 今後、若いピッチャーは黒田の遠投やキャッチボールを見るだけでも勉強になるのではないか。なるほど“生ける教材”である。沖縄キャンプは「背番号15」に刮目したい。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)

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