黒田博樹の8年ぶりのカープ復帰が決まり、広島のまちは早くもお祭りムードに包まれている。

 広島出身のバンド「ポルノグラフィティ」は紅白歌合戦で「来年は、カープに黒田が帰ってきます。優勝するんです! 広島が盛り上がります!」と叫び、反響を呼んだ。松田元オーナーは「精神的支柱になりそうな大黒柱が帰ってきてくれるのは大きい。野球に対する姿勢とかは若い投手も見習える」と語っていた。

 メジャーリーグ7シーズンで79勝をあげた黒田の技術と経験は、後輩たちの成長を手助けするはずだ。

 わけても、伝授してもらいたいのが左打者に対するフロントドアと右打者に対するバックドアである。フロントドアはインコースのボールゾーンからストライクゾーンに食い込ませる球で、一方のバックドアはベースを巻くようにしてバッターのアウトコースいっぱいを狙う。この2つをうまく使い分け、黒田はドジャースとヤンキースという名門チームで先発ローテーションを守ってきた。

 ただ心配がないわけではない。日本製のボールで米国製のそれと同等の曲がりが確保できるかどうか。黒田も最初のうちは多少戸惑うかもしれない。

 いずれにしても黒田が米国で磨き上げたウイニングショットはカープにとって“無形の財産”となるはずだ。キャンプが待ち遠しい。

(今月は二宮清純が第2、4週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第3週木曜を担当します)


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