セ・リーグの二塁手ベストナインはカープの菊池涼介ではなく東京ヤクルトの山田哲人だった。162票対97票。思いのほか、大差がついた。

 評価されたのは山田のバッティングである。シーズン193安打は日本人の右バッターとしては史上最多だった。トップバッターとして打率3割2分4厘(リーグ3位)、29本塁打(同3位)、89打点(同4位)。文句のつけようのない成績である。

 過日、山田にインタビューする機会があり、今後の目標を聞くと、「将来は1番より、3番を打ちたい」と語っていた。

 その山田に、2年連続ゴールデングラブ賞に輝いた菊池の守備に対する印象を聞いた。「1歩目が速い。どこに打っても捕られそうな気がする」と前置きして、山田は続けた。

「だから、できればセカンド方向には打ちたくない。菊池さんのいるところに打ちたくないので、引っ張った方がいいとさえ思いました。こんな気持ちになったのは初めてです」
 
 この話は新鮮だった。山田のみならず、セ・リーグのほとんどのバッターが、そう考えているのではないか。

 菊池の今季の補殺数は535。昨季、自らが塗り替えた日本最多記録を、またしても更新した。

 菊池の広い守備範囲を嫌って引っ張る――。そうなると、固めなければならないのは三塁線である。ライン際に強いサードは誰か。そんな観点での“サード選び”もあっていいかもしれない。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)
◎バックナンバーはこちらから