「来年のことを言えば鬼が笑う」ということわざがある。先のことなんて誰もわからないのだから、あれこれ言ってもはじまらない、との意味だが、カープファンのほとんどは「来年こそは優勝」と意気込んでいることだろう。

 巨人、阪神、カープの上位3球団の中で伸び盛りの選手が最も多いのはカープである。主力の菊池涼介、丸佳浩のキクマルコンビは、さらなる成長が期待できる。ネックだったキャッチャーも會澤翼に一本立ちの目処が立った。

 何よりエース前田健太が残留濃厚であることが大きい。エースが抜けたチームがどうなるかは田中将大(現ヤンキース)が抜けた今季の東北楽天の惨状が物語っている。

 優勝した巨人は攻守の要である阿部慎之助に衰えが目立つ。今季は首の故障もあり打率2割8分7厘、19本塁打、57打点と平凡な成績に終わった。来季は一塁へのコンバートが内定している。

 阪神はキャプテンの鳥谷敬がFA権を行使してメジャーリーグに挑戦する。ショートで3番の鳥谷はプレー面のみならず、チームの精神的支柱でもあり、すぐに誰かが彼の代役を務めるのは難しい。

 監督が野村謙二郎から緒方孝市に代わったことも、カープにとっては追い風となるのではないか。緒方は5年間、コーチを務めていた。継続すべき点、改善すべき点を誰よりも知っている人物であり、まさに適任だ。

 悲願の初優勝を果たしたのが1975年。来年は、ちょうど40年にあたる。記念すべき年に40年ぶりの美酒を分かち合いたい。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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