慣れないことはやるべきではない。また、やる以上は準備が必要である。

 初戦が0対1、2戦目は0対0(延長12回表、規定によるコールド)。CS21イニング無得点では、どうしようもない。カープがファーストステージで阪神の軍門に下った。ピッチャーは好投しながら、打線が火を噴かなかった。

 とりわけ不振を極めたのが1番・菊池涼介と2番・丸佳浩の“キクマルコンビ”である。2人合わせて2試合で18打数1安打。レギュラーシーズンの成績は菊池が3割2分5厘、出塁率3割5分2厘。丸が打率3割1分、出塁率4割1分9厘。阪神の投手陣が良すぎたといえばそれまでだが、カープ打線の顔ともいえるこの2人が“音無し”ではチームは勝てない。

 しかし、この2人には同情すべき点もある。レギュラーシーズンの指定席は菊池が2番で丸が3番。「ひとつ繰り上げたくらいで問題はないだろう」と思う向きもあるかもしれないが、やる以上はシーズンの後半で、この打順を一度、試しておいてもよかったかもしれない。

 とはいえ、終わったことを嘆いても仕方がない。新監督の緒方孝市には継続すべき点、改革すべき点を整理して「勝ち切れるチーム」をつくってもらいたい。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)

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