ご存知の通り、野村謙二郎監督が、今季限りで辞任することが発表された。
 報道によれば、指揮官が球団に辞意を申し入れ、了承されたそうだ。

 この辞任劇の裏側とか、内部事情とか、いっさい知らない。ただ、今年は十中八九、2位にはなれたのにな、とつくづく思う。あと1勝すれば、クライマックスシリーズ(CS)のファーストステージを本拠地マツダスタジアムで行うことができた。この1勝を手放したのは、残念というほかない。

 阪神とのファーストステージは2勝勝ち抜けの超短期決戦である。前田健太は中5日になる第2戦にまわし、第1戦はデュアンテ・ヒース先発でどうか(マエケンは中4日で、第1戦先発説が強いようですが)。

 ヒースもこのところ疲れが見える。打たれたら、すぐに福井優也につなぐ。クローザーは大瀬良大地に賭ける、というのはいかが(キャム・ミコライオが登録抹消になったのは、むしろ、すっきりするとポジティブにとらえたい)。

 要するに全投手をつぎこんででも、1、2戦を連勝したいのである。第3戦の先発投手が不安だから。一時は投手王国復活か、とまで騒がれたのに、どうしてこうなってしまったのか。その大きな要因が、野村祐輔とブライアン・バリントンの不振である。

 右ヒジの張りで離脱したバリントンは、CS登板へ向けて調整中という。しかし、今季の状態を考えると、多くは期待できない。

 それよりも野村である。今季は1軍と2軍を行ったりきたりのシーズンになってしまった。2軍調整を経て1軍に復帰登板しても、あまり変わり映えがしなかった、という印象が強い。

 これは、野村本人だけの問題ではないだろう。あえて言えば、野村監督の問題でもない。1軍と2軍の投手コーチ、および球団の投手に対する育成法、調整法、もっといえば思想の問題である(その最高責任者が監督だ、という意味では野村監督の責任だが)。

 大瀬良も、似たような状況にある。不振に陥っても、なかなか修正できない。なにか手を打った形跡もない。たしかに初完封(9月6日、横浜DeNA戦)などは、すばらしいピッチングだった。しかし、あとが続かない。続かないということは、チームとしての、系統立てた改善策が講じられていないという証左だろう。

 カープの今後を考えると、野村、大瀬良、そして今村猛の3人のドラフト1位投手を、3人ともエース格になるくらいに育てあげるしかないのだ。

 一方で、いま、鈴木誠也は目に見えて成長している。左腕・戸田隆矢も夏場に、明らかに日を追って成長した。つまり若手が伸びて、さらに強いチームになる可能性は十分にもっているのだ。

 しかし、かんじんの投手部門に大きな不安がある。たとえばクローザーが本当にミコライオでいいのか、というところから、編成しなおさなくてはいけないのではないか。

 次期監督がどなたなのかは知らないが、球団として、そこに大きな課題があることはたしかだ。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)
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