横浜DeNAの梶谷隆幸は昨シーズン、突然ブレークした。規定打席不足ながら打率3割4分6厘、16本塁打、44打点を記録し、秋には強化試合ながら「侍ジャパン」入りを果たした。

 この梶谷はマエケンことカープの前田健太と同学年である。もしカープがマエケンの獲得に失敗した場合の“ハズレ1位”候補だったというのだから、人生とはわからないものだ。結局、梶谷は高校生ドラフト3巡目で横浜に指名され、入団した。

 これまで最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、沢村賞に輝くなど、球界を代表するエースに成長したマエケンと、昨シーズン、やっと頭角を現した梶谷。格は違うものの、同学年ということもあって、グラウンドで顔を合わせれば「たまには打たせろ」「いや、オレも必死なんだよ」と冗談を言い合う間柄だ。

 梶谷によれば、マエケンの一番良いボールはチェンジアップ。「こっちはナメられているのが分かっていても打てない」と言って渋面をつくった。

 それでも「今シーズンのマエケンの出来は昨シーズンほどではない」というのが梶谷の見立てだ。「昨季までは全く甘い球がなかった。打てそうなボールは4打席で1球あるかないか。今年は、ちょっと増えたかな、という気がしています」。梶谷の言う「コントロールの乱れ」は、いったいどこから来ているのか。メカニック上の問題か、それともメンタルか……。

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)

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