楽屋のカギ

　サッカーのＷ杯も始まり、読者の皆様も寝不足の日々が続いているのではないでしょうか。寝ぼけ眼で、大あくびをしている人を電車で見かけることも多くなりました。

　ボーッとしていても、習慣づいていることは無意識でやっていたりします。家の鍵を締めることとか、駅の改札を抜けると定期を出すといったことは、最早ルーティンワークと言ってもいいかもしれません。

　時々、それが逆になって改札の前で鍵を取り出したり、ドアの前で定期を出してみたりと、天然ボケをすることがあります。私の場合、大事なものはポケットに入れるということがクセづいていて、そこから取り出すカギと定期が入れ替わってしまうということがあります。

　先日、編集長のテレビ出演に同行する機会がありました。無事、出演を終えて、楽屋に荷物を取りに行きました。出演者、スタッフの皆さんに挨拶をして、テレビ局の方に呼んでいただいたタクシーに乗り込みました。

　編集長と番組の感想などを話し合っていると、タクシーの運転手さんに無線が入りました。「ちょっと失礼します」と一言断りを入れた運転手さんが無線機を手に取る。向こうの声がこちらにも漏れてきました。

「今、乗っているお客様が楽屋の鍵を持っていませんか？」

　ハッとして、慌ててポケットに手を入れてみると、鍵が……ありました。大事なものをポケットに入れるクセがあるため、楽屋の鍵を、そのまま持って帰ってしまったのです。タクシーの運転手さんが、テレビ局にＵターンして届けてくださることに。危うく楽屋泥棒ならぬ、楽屋の鍵泥棒になるところでした。関係者の皆様、ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。

（スタッフT.S）

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