東京の都心を3万人ものランナーが走り抜ける第2回東京マラソンが17日、東京都庁前から東京ビッグサイトまでの42.195キロで行われ、男子はビクトル・ロスリン(スイス)が2時間7分23秒で初優勝した。一般参加の藤原新(JR東日本)が2時間8分40秒で日本人選手最高の2位に入り、北京五輪代表候補に名乗りを上げた。
 アテネ五輪、大阪世界選手権代表の諏訪利成(日清食品)は4位、入船敏(カネボウ)は5位。昨年優勝のケニア出身のダニエル・ジェンガ(ヤクルト)は13位に終わった。 
 新宿・都庁前をスタートし、銀座や浅草といった都内の名所を巡り、臨海部の東京ビッグサイトをゴール地点とする国内最大規模の「東京マラソン」。フルマラソンの部には2万7386人、日比谷公園までの10キロの部には5040人が参加した。完走率は第1回大会の昨年を上回る97.8%を記録した。
 雨に見舞われた昨年と打って変わって、雲一つない冬晴れの一日となった。風こそ冷たかったものの、東京マラソン事務局によると、沿道の応援人数は166万人で、昨年の138万人を上回ったという。

 北京五輪代表選考会を兼ねた男子では、陸上界が待ち望んだ“新星”が誕生した。
 優勝は昨年大阪で開催された世界選手権銅メダルのビクトル・ロスリン(スイス)で、タイムは2時間7分23秒。ロスリンに次ぐ日本人最高の2位に食い込んだのが、一般参加の藤原だった。
 30キロ、ぺースメーカーが抜けた時点での先頭集団は9人。その中には昨年の覇者であるケニア人のダニエル・ジェンガ(ヤクルト)、アテネ五輪、昨夏の大阪世界陸上代表の諏訪利成(日清食品)、05年ヘルシンキ世界陸上代表の入船敏(カネボウ)らも含まれていた。
 最初に入船が仕掛けるが、決定打にならず集団に吸収される。32キロ過ぎ、それまで集団の中でリズムを守っていたロスリンが満を持してスパート。そこでケニア人のジュリアス・ギタヒ(日清食品)とともに、藤原がロスリンに食らいついた。

 ゼッケンナンバーは一般参加を示す「183」。誰もがノーマークだった男が、ギタヒを振り切っての2位に食い込み、北京五輪の代表候補に浮上した。タイムは、2時間8分40秒という大幅な自己記録だった。
 藤原はゴール後のインタビューで「実感がわかなくて不思議な気分」と語った。終盤、2位争いを演じる中、脚のけいれんで何度も転びそうになり「最悪の事態(棄権)も一瞬、頭をよぎった」。しかし「ストライドを狭めて、ペースを落とせば持ちそうだったので、淡々とでもリズムを刻んでいこうと思った」との冷静な対処で、ゴールまで走り切った。
 日本陸連の沢木専務理事は「我々が待ち望んでいた新人が出てきた。(レース内容は)非の打ち所がない」と最大の賛辞を送った。
 男子マラソンの代表選考レースは、3月2日のびわ湖毎日マラソンを残す。昨年12月の福岡で2時間7分13秒の日本人最高の3位に入った佐藤敦之(中国電力)が確実視されているほか、昨夏の大阪世界陸上で5位に入った尾方剛(同)が有力と見られているが、26歳の新星も一躍、名乗りをあげた。

上位結果
優勝 ロスリン(スイス) 2時間07分23秒
2位 藤原新(JR東日本) 2時間08分40秒
3位 ギタヒ(日清食品・ケニア) 2時間08分57秒
4位 諏訪利成(日清食品) 2時間09分16秒
5位 入船敏(カネボウ) 2時間09分40秒
6位 梅木蔵雄(中国電力) 2時間11分00秒
7位 小林誠治(三菱重工長崎) 2時間11分02秒
8位 高塚和利(小森コーポレーション) 2時間11分15秒
9位 堀端宏行(旭化成) 2時間11分47秒
10位 太田崇(コニカミノルタ) 2時間12分10秒