再開催となったハンドボールの北京五輪アジア予選男子は1月30日、東京・国立代々木競技場で日本×韓国が行われた。日本は序盤から韓国にリードを許すも終盤に追い上げを見せたが、25−28で敗れ、この大会での五輪出場権獲得はならなかった。
(写真:日本チームに指示を出す攻撃の要・宮崎選手)

◇1月30日、東京・国立代々木競技場
日本  25−28(前半11−14) 韓国
 日本中が注目した、五輪切符をかけた韓国との一騎打ち――。会場には日本と韓国を応援する1万人を超える観客が詰めかけた。
 試合開始後、先制点を奪ったのは韓国。その後、日本はGK坪根(湧永製薬)が好セーブを連発し、4分過ぎには富田(大同特殊鋼)、主将・中川(大崎電気)のシュートでリードを奪う。序盤は互角の戦いを見せるが、韓国の堅守に得点が続かず、11−14と3点ビハインドで前半を終了。
 後半に入ってからも点差は縮まらず、逆に攻撃のミスを突かれての韓国のチョン・スヨンの速攻などで連続失点を許す。相手DFに苦しみ、一時は6点ものリードを許した日本だったが、後半の中盤を過ぎ、GK四方(Honda)の好セーブ、下川(湧永製薬)の速攻、エース宮崎(大崎電気)のシュートなどで点差を詰める。
 一時は2点差まで詰め寄った日本はDF陣の踏ん張りも会場を沸かせたが、終盤には日本の大同特殊鋼でプレーする韓国のペク・ウォンチョルの連続ゴールを許し、25−28で敗れた。

 日本にとって五輪出場への最大のチャンスだったが、あと一歩及ばなかった。試合後、酒巻清治監督は「悔しい気持ちでいっぱいだが、選手たちは素晴らしい戦いをしてくれた。今後につながる試合ができた」と振り返った。
 後半、2点差まで追い上げた場面では「得点することを考えなくてはいけなかったが、ディフェンスシステムのチェンジにナーバスになってしまい、後手にまわってしまった。私の大きなミス。考えすぎて判断が2プレー遅れたことが大きかったのではないか」と自らを責めた。

 主将の中川は「力と力の勝負ができたが、それで負けた。悔しいですね。良いゲームができても負けは負け。アジアで勝つのではなく、世界で勝つことを目指していかないといけない」と振り返った。さらに、フェアな笛の元での戦いを終えたことについて「前向きなステップなら、選手の今後の気持ちの入り方も違ってくる。今日がハンドボール界の新たなスタートになったと思う」と語った。

 エースの宮崎は「日本への流れも何度か来ていたが、決めどころでゴールを決めることができなかった。マークが厳しかった分、僕を使って他の選手を生かすプレーに回ったが、それがなかなかできなかった。動きの中でシュートにいける選手を生かせばよかった」と反省を口にし、続けてこう語った。「コートに立ったときは熱いものがこみ上げた。たくさんの人が応援してくれて、あのコートでやれたことが本当に幸せだった。最終予選もあるので、もっとハンドボールの面白さを知ってもらえるよう結果を出して、もっと応援してもらいたい」。
(写真:試合後、会見で語る宮崎選手)
 
 日本は5月下旬の世界最終予選(場所未定)で五輪出場をかけた戦いに再び挑むことになるが、同じ組には世界選手権5位のクロアチア、同6位のロシア、今年1月のアフリカ選手権3位のアルジェリアと強豪国が揃う。酒巻監督は「世界的な強豪ばかり。胸を借りる状態になると思うが、選手には良い経験になる。まだ少し時間はあるのでしっかり準備して臨みたい」。韓国との激闘を終えた日本は、20年ぶりの五輪出場を、残されたわずかな望みにかける。