負傷者続出のドイツに迫るセルビア 〜グループD開幕前展望〜

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 今大会で最も混戦が予想されるのがグループDだ。西ドイツ時代を含み3回の優勝を誇るドイツがシードされているが、セルビア、ガーナ、オーストラリアとポテンシャルの高いチームが凌ぎを削る。ドイツ、ガーナともに大黒柱が欠場することとなり、面白い存在となるのがセルビアだ。分離独立運動などで翻弄されてきた歴史を持つ国が、いよいよ世界の舞台で輝きを放つか。
◎ セルビア
〇 ドイツ
▲ ガーナ
  オーストラリア

 ユーゴスラビア、セルビア・モンテネグロ時代も含めると、11回目の出場となるセルビアは、欧州の隠れた強豪だ。欧州予選ではフランスを抑えてトップ通過、親善試合でも結果を出し、順調な仕上がりを見せている。ワールドクラスの選手も多く、センターバックのネマニャ・ビディッチ(マンチェスター・ユナイテッド)と中盤のデヤン・スタンコビッチ(インテル・ミラノ)、そしてサイドを躍動するミロシェ・クラシッチ(CSKAモスクワ)がチームを牽引する。欧州CLの舞台でも活躍する彼らにとって、セルビア代表として初めてのW杯だ。

 旧ユーゴ勢は高い実力を持ちながら格下相手に取りこぼす試合があり勝ちきれない印象があった。しかし、ビディッチ、スタンコビッチがクラブで培った勝者のメンタリティを代表チームに持ち込むことで、メンタル面での強化にも成功している。人口700万人ほどの小国だが、混戦のグループに入ったことによって、その存在感を世界に知らしめる絶好のチャンスとなる。

 ドイツはなんといってもミヒャエル・バラック(チェルシー)の離脱が大きな痛手だ。中盤から試合を組み立てるだけでなく、チームのリーダーだけに、単純に1人欠いた以上の戦力ダウンといえる。前回大会では地元で3位に入ったが、今回は苦戦を強いられるだろう。まずは初戦のオーストラリア戦が重要だ。フィジカルの強い相手に制空権を握られるようであれば厳しい戦いとなる。センターバックのペア・メルテザッカー(ブレーメン)がいかに相手FW陣と対峙できるか。キーパーのマヌエル・ノイアー(シャルケ)の活躍も上位進出には不可欠だ。

 ガーナも不動の司令塔マイケル・エッシェン(チェルシー)を負傷で欠くこととなった。攻守の要として重要なポジションを担う彼の欠場は、ガーナを全く別のチームにしてしまった。中盤の構成力低下は必至だ。それでもサリー・ムンタリ(インテル・ミラノ)、アサモア・ギャン(レンヌ)らを擁する攻撃陣は破壊力がある。多少強引な突破でもゴールをこじ開ける個の力があるだけに侮れない。セルビア、ドイツ、オーストラリアといった組織力のあるチームと対戦するが、最終的に一選手の能力で試合を決めてしまうこともあり得る。

 前回ドイツ大会では日本と同組に入り、グループリーグを突破したオーストラリア。オセアニアの国ながら、チーム力強化のためにアジア連盟に加盟し、アジア予選ではわずか1失点で本大会の切符を手にした。4年前に日本を苦しめたティム・ケーヒル(エバートン)やジョシュア・ケネディ(名古屋)とお馴染みのメンバーで構成され、経験豊富な選手が揃う。2大会連続での決勝トーナメント進出となれば、オセアニアのアウトサイダーではなく、強豪の一角に数えられる。2大会連続決勝トーナメント進出が現実的な目標といえよう。

(A.O)


 W杯やEUROなどビッグトーナメントで見せる無類の勝負強さこそドイツの真骨頂だ。2002年の日韓大会で準優勝、06年のドイツ大会で3位、EURO2008で準優勝と近年の主要大会では軒並み上位進出を果たしている。

◎ ドイツ
〇 セルビア
▲ オーストラリア
△ ガーナ

 だがW杯を前にした大切な時期に、ドイツは祟られたかのように故障者が続出している。まずは、シーズン終盤の故障で大黒柱の主将バラック、守護神のレネ・アドラー(レバークーゼン)が離脱。また大会前のキャンプ中にCBのレギュラーだったハイコ・ヴェスターマン(シャルケ)と、中盤と右サイドバックをこなすクリスティアン・トレーシュ(シュトゥットガルト)を失った。
 主力選手の離脱は痛いが、勢いのある若手選手にとっては大きなチャンスだ。特にバラックが抜けた中盤にはトーマス・ミュラー(バイエルン・ミュンヘン)、トニ・クロース(レバークーゼン)、サミ・ケディラ(シュトゥットガルト)、メスト・エジル(ブレーメン)など多くの若手選手が登録されており、本大会でのブレイクが期待される。彼らの奮起がドイツの命運を握っていると言えそうだ。

 セルビアも好チームに仕上がっている。セルビア・モンテネグロとして出場した前回大会では組分けに恵まれず、グループステージ敗退の憂き目を見た。しかし、今大会では16強進出、またそれ以上の結果を望むこともできるだろう。
 ディフェンス面では屈強なビディッチとネベン・スボティッチ(ドルトムント)がゴール前に壁を築き、中盤では大黒柱のスタンコビッチとネナド・ミリヤシュ(ウォルバーハンプトン)がタクトを振るう。両ウイングにはドリブル突破が得意なクラシッチとミラン・ヨバノビッチ(スタンダール・リエージュ)を擁し、2トップには202cmの長身を誇るセルビアンタワーことニコラ・ジギッチ(バレンシア)と運動量豊富なマルコ・パンテリッチ(アヤックス)と各ポジションに適材適所の選手を配している。
 監督はレアル・マドリーやバルセロナで指揮を執ったこともあるラドミール・アンティッチ。経験豊富な指揮官に率いられた白い鷲(セルビア代表の愛称)たちの戦いぶりに注目したい。

 オーストラリアにもドイツとセルビアの牙城を崩す可能性はある。前回大会では初の16強進出を果たし、決勝トーナメント1回戦では優勝国となるイタリアを最後まで苦しめる大健闘を演じた。37歳の守護神マーク・シュウォーツァー(フルアム)はいまだ衰えない反射神経と豊富な経験でチームを支える。攻撃面ではケネディの194cmの高さとケイヒルの果敢な飛び出しが武器だ。ハリー・キューウェル(ガラタサライ)ら、実績のあるベテランも名を連ねている。アジア予選で1失点と守備力には期待できるだけに、いかに先制点を獲るかが重要になる。

 ガーナはエッシェンの離脱が痛すぎる。しかしながら、アフリカネーションズカップではエッシェン抜きの若手主体のチームで準優勝とポジティブな結果を得ている。混戦が予想されるグループだけに、彼らが16強の切符を手にする可能性も十分にある。ちなみにMFのケビン・プリンス・ボアテング(ポーツマス)はドイツ代表のイェロメ・ボアテング(ハンブルグ)の実兄で、バラックにタックルを見舞って負傷欠場に追い込んだ張本人である。ドイツとのグループステージ最終戦は色々な意味で注目だ。

(S.S)
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