主役はオランダ 残り1席を3カ国で争う 〜グループE開幕前展望〜
4大会連続での出場となった日本が入ったグループE。過去3大会とは比べ物にならないほど手ごわい3カ国、カメルーン、オランダ、デンマークと同居することとなった。グループリーグ突破は困難な状況にある。
◎ オランダ
〇 カメルーン
▲ デンマーク
日本
しかし、モノは考えようだ。決勝トーナメントに進出してもおかしくない強豪3チームとW杯という舞台で真剣勝負できるのは幸運なことである。初出場から12年。日本がどれだけ世界との距離を縮めたのか。それを客観的に測るためには絶好のカードが用意されている。
グループ不動の主役はオランダだ。W杯では頂点に立っていないものの、世界最高レベルのサッカー大国であることは間違いない。ヨハン・クライフをはじめ、過去に何人ものスーパースターを輩出してきた。今大会もヴェズレイ・スナイデル(インテル・ミラノ)、ロビン・ファンペルシ(アーセナル)、アリエン・ロッベン(バイエルン・ミュンヘン)、ラファエル・ファンデルファールト(レアル・マドリッド)といった魅力溢れる攻撃陣がオレンジのユニフォームを纏い躍動する。
中でもロッベンに熱い視線が注がれる。今大会の主役候補といえばリオネル・メッシ(バルセロナ)やクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリッド)の名前が挙がるが、彼らと同じドリブラーの中でもロッベンのスピードは抜きんでている。特に右サイドを突破し、カットインしながらPA少し外から放たれるミドルシュートはわかっていても止めることができない。クラブではドイツ2冠を達成し、欧州CLでも準優勝。ブンデスリーガMVPも獲得し、これ以上望めないほどの活躍をみせた。直前の親善試合で右足腿を負傷したものの、グループリーグがよい休養になれば決勝トーナメントで力を発揮するだろう。
オランダに続く2チームはカメルーンとデンマークだ。ただし、この2カ国の評価は非常に難しい。ひとたび波に乗ればW杯優勝経験のある強豪国でも手に負えないほどの力を発揮するが、リズムよく大会を迎えられなければ案外脆い部分も持っている。実際にフタを開けてみなければ、どんな活躍を見せるかわからない。
カメルーンの成功体験として90年イタリア大会の開幕戦、対アルゼンチンを思い出す。ディエゴ・マラドーナ率いる前回王者を1対0で下し、世界中にアフリカの躍進を予感させ決勝トーナメント進出を果たした。デンマーク躍進の記憶といえばEURO92の優勝だ。ピーター・シュマイケルやラウドルップ兄弟が大活躍をみせ、一気に欧州王者まで駆け上った。一方で、カメルーンは4大会連続でグループリーグ敗退を喫しており、デンマークは欧州予選を突破できないこともあった。直前の親善試合でも両者とも仕上がりの悪さが目立っている。これが本大会でも顔を出さなければいいのだが。
カメルーンのエースは言わずと知れたサミュエル・エトー。09−10シーズンはバルセロナからインテル・ミラノへ移籍し、両クラブが欧州王者になる大きな原動力となった。クラブでは献身的な動きで黒子に徹する場面も見られたが、代表では彼が輝かないことには上位進出はない。エトーの相棒にはピエール・アシル・ウェボ(マジョルカ)が起用されるか。エトーの得点力を引き出すためにも、周りとの連係強化が不可欠。大会期間中にチームが仕上がっていけば20年ぶりのベスト8も見えてくる。
デンマークは欧州予選をポルトガル、スウェーデンといった強国と同居しながら1位通過、堅実な試合運びが印象的だ。エースのニクラス・ベントナーは英プレミアリーグのアーセナルで揉まれ、長身をいかしたヘッドだけでなく足技でも器用なところを見せる。スピードにも溢れ左サイドに開けばドリブル突破からチャンスを演出する。ベテランFWのヨン・ダール・トマソン(フェイエノールト)はチームの象徴的存在。スピードの衰えは隠せないが、それ以上の巧さでゴールを狙っている。新旧ゴールゲッターの共演に注目が集まる。
この2カ国が躓けば日本にもチャンスが転がり込む。実力面ではカメルーン、デンマークから後れをとっていることは否めない。キーマンは本田圭佑(CSKAモスクワ)と森本貴幸(カターニャ)、そして左サイドでエトー、ベントナーと対峙することになる長友佑都(F東京)だ。3人とも2年前の北京五輪では大きな期待を集めながら、活躍することができなかった。その経験を糧にし本大会での奮起に期待したい。まずはカメルーン戦で勝ち点を拾うことが決勝トーナメント進出の第一条件となる。
(A.O)
74年西ドイツ大会において「トータルフットボール」で一大センセーションを巻き起こした。以来、オランダは常にスペクタクルな攻撃サッカーで世界中のファンを魅了し続けてきた。今大会でも間違いなく、魅力的なサッカーを披露してくれるはずだ。
◎ オランダ
〇 デンマーク
▲ 日本
△ カメルーン
前線のクオリティは世界でも群を抜く。CL制覇に貢献した司令塔のスナイデルを筆頭に、スピード感溢れるドリブル突破とカットインからのシュートが武器のロッベン、エースナンバー9を背負うファン・ペルシなどワールドクラスの才能たちが名を連ねる。ハンガリーとの親善試合でロッベンが負傷したが、ライアン・バベル(リバプール)、イブラヒム・アフェラーイ(PSV)などが控えており、代役にも事欠かない。グループステージではさほど大きな痛手にはならないだろう。反面、守備陣には一抹の不安が残る。サイドバックが上がった後のスペースや、スピード不足が否めないセンターバックの裏をいかに突くかがオランダ攻略の糸口となるだろう。
チームとしての完成度が高いデンマークも期待できる。モアテン・オルセン監督は就任10年目を迎え、代表監督には珍しい長期政権を築いている。現在のチームは同国代表最多得点にあと1点と迫るトマソン、ベスト8に進出した98年大会を知るマルティン・ヨルゲンセン(オーフス)らベテラン主体だが、ベントナー、シモン・キアル(パレルモ)、クリスティアン・エリクセン(アヤックス)ら進境著しい若手もバランスよく組み込まれている。ベテランの経験と若手の勢いがチームに良い相乗効果をもたらすだろう。
攻撃面ではグラウンダーのパスを用いた組み立てが中心で、いざとなれば長身を活かして空中戦を挑むなど戦術の幅も広い。またディフェンス面でもGKのトーマス・セーレンセン(ストーク)、CBのダニエル・アッガー(リバプール)、キアルを中心に堅固なブロックを築く。かつては92年の欧州選手権で優勝し、欧州予選でも強豪のポルトガルとスウェーデンを下して本大会出場を掴んだ。今大会でもダークホース候補として期待がかかる。
日本にとっては厳しい組分けだが、このグループの「3強1弱」という構造を逆手に取った戦い方ができれば日本にも勝機はあるはずだ。他の3チームは日本を相手に勝ち点3を計算している。そのため日本相手に点を取れなければ相手にも焦りが生まれる。そこが一番の狙い目だ。相手が前がかりになったところでカウンターを仕掛け、セットプレーでの得点力を活かすために敵陣でファウルをもらう回数を増やしたい。前半から攻守に飛ばしすぎると90分持たないことは親善試合でも証明されている。サプライズを起こすためには、前半に失点しないこと、ペース配分を考えることが絶対条件だ。
カメルーンは組織の完成度という点で不安が残る。ピッチ外ではカメルーンの英雄ロジェ・ミラに名指しで批判されたエトーが代表辞退を示唆するなどお家芸の内紛が勃発し、本大会に臨むチーム状況は決して好ましくない。
組織力に問題がある以上、攻撃面ではエトーのスピード、エリック・チュポ・モティング(ニュルンベルク)、モハマドゥ・イドリス(フライブルク)の高さ、アシル・エマナ(ベティス)の個人技など、個の能力に依存せざるを得ないが、それでも彼らの超人的な身体能力は大きな脅威となる。より状況が深刻なのはディフェンスだ。大会前のテストマッチ4試合で8失点を喫している。守備陣がオランダやデンマークの攻撃にいかに耐えられるかがグループステージ突破のカギとなる。18歳のジョエル・マティプ(シャルケ)やヴァンサン・アブバカル(コトン・スポーツ)など若手選手が多く、次世代のスター候補である彼らの活躍にも注目したい。
(S.S)
◎ オランダ
〇 カメルーン
▲ デンマーク
日本
しかし、モノは考えようだ。決勝トーナメントに進出してもおかしくない強豪3チームとW杯という舞台で真剣勝負できるのは幸運なことである。初出場から12年。日本がどれだけ世界との距離を縮めたのか。それを客観的に測るためには絶好のカードが用意されている。
グループ不動の主役はオランダだ。W杯では頂点に立っていないものの、世界最高レベルのサッカー大国であることは間違いない。ヨハン・クライフをはじめ、過去に何人ものスーパースターを輩出してきた。今大会もヴェズレイ・スナイデル(インテル・ミラノ)、ロビン・ファンペルシ(アーセナル)、アリエン・ロッベン(バイエルン・ミュンヘン)、ラファエル・ファンデルファールト(レアル・マドリッド)といった魅力溢れる攻撃陣がオレンジのユニフォームを纏い躍動する。
中でもロッベンに熱い視線が注がれる。今大会の主役候補といえばリオネル・メッシ(バルセロナ)やクリスティアーノ・ロナウド(レアル・マドリッド)の名前が挙がるが、彼らと同じドリブラーの中でもロッベンのスピードは抜きんでている。特に右サイドを突破し、カットインしながらPA少し外から放たれるミドルシュートはわかっていても止めることができない。クラブではドイツ2冠を達成し、欧州CLでも準優勝。ブンデスリーガMVPも獲得し、これ以上望めないほどの活躍をみせた。直前の親善試合で右足腿を負傷したものの、グループリーグがよい休養になれば決勝トーナメントで力を発揮するだろう。
オランダに続く2チームはカメルーンとデンマークだ。ただし、この2カ国の評価は非常に難しい。ひとたび波に乗ればW杯優勝経験のある強豪国でも手に負えないほどの力を発揮するが、リズムよく大会を迎えられなければ案外脆い部分も持っている。実際にフタを開けてみなければ、どんな活躍を見せるかわからない。
カメルーンの成功体験として90年イタリア大会の開幕戦、対アルゼンチンを思い出す。ディエゴ・マラドーナ率いる前回王者を1対0で下し、世界中にアフリカの躍進を予感させ決勝トーナメント進出を果たした。デンマーク躍進の記憶といえばEURO92の優勝だ。ピーター・シュマイケルやラウドルップ兄弟が大活躍をみせ、一気に欧州王者まで駆け上った。一方で、カメルーンは4大会連続でグループリーグ敗退を喫しており、デンマークは欧州予選を突破できないこともあった。直前の親善試合でも両者とも仕上がりの悪さが目立っている。これが本大会でも顔を出さなければいいのだが。
カメルーンのエースは言わずと知れたサミュエル・エトー。09−10シーズンはバルセロナからインテル・ミラノへ移籍し、両クラブが欧州王者になる大きな原動力となった。クラブでは献身的な動きで黒子に徹する場面も見られたが、代表では彼が輝かないことには上位進出はない。エトーの相棒にはピエール・アシル・ウェボ(マジョルカ)が起用されるか。エトーの得点力を引き出すためにも、周りとの連係強化が不可欠。大会期間中にチームが仕上がっていけば20年ぶりのベスト8も見えてくる。
デンマークは欧州予選をポルトガル、スウェーデンといった強国と同居しながら1位通過、堅実な試合運びが印象的だ。エースのニクラス・ベントナーは英プレミアリーグのアーセナルで揉まれ、長身をいかしたヘッドだけでなく足技でも器用なところを見せる。スピードにも溢れ左サイドに開けばドリブル突破からチャンスを演出する。ベテランFWのヨン・ダール・トマソン(フェイエノールト)はチームの象徴的存在。スピードの衰えは隠せないが、それ以上の巧さでゴールを狙っている。新旧ゴールゲッターの共演に注目が集まる。
この2カ国が躓けば日本にもチャンスが転がり込む。実力面ではカメルーン、デンマークから後れをとっていることは否めない。キーマンは本田圭佑(CSKAモスクワ)と森本貴幸(カターニャ)、そして左サイドでエトー、ベントナーと対峙することになる長友佑都(F東京)だ。3人とも2年前の北京五輪では大きな期待を集めながら、活躍することができなかった。その経験を糧にし本大会での奮起に期待したい。まずはカメルーン戦で勝ち点を拾うことが決勝トーナメント進出の第一条件となる。
(A.O)
74年西ドイツ大会において「トータルフットボール」で一大センセーションを巻き起こした。以来、オランダは常にスペクタクルな攻撃サッカーで世界中のファンを魅了し続けてきた。今大会でも間違いなく、魅力的なサッカーを披露してくれるはずだ。
◎ オランダ
〇 デンマーク
▲ 日本
△ カメルーン
前線のクオリティは世界でも群を抜く。CL制覇に貢献した司令塔のスナイデルを筆頭に、スピード感溢れるドリブル突破とカットインからのシュートが武器のロッベン、エースナンバー9を背負うファン・ペルシなどワールドクラスの才能たちが名を連ねる。ハンガリーとの親善試合でロッベンが負傷したが、ライアン・バベル(リバプール)、イブラヒム・アフェラーイ(PSV)などが控えており、代役にも事欠かない。グループステージではさほど大きな痛手にはならないだろう。反面、守備陣には一抹の不安が残る。サイドバックが上がった後のスペースや、スピード不足が否めないセンターバックの裏をいかに突くかがオランダ攻略の糸口となるだろう。
チームとしての完成度が高いデンマークも期待できる。モアテン・オルセン監督は就任10年目を迎え、代表監督には珍しい長期政権を築いている。現在のチームは同国代表最多得点にあと1点と迫るトマソン、ベスト8に進出した98年大会を知るマルティン・ヨルゲンセン(オーフス)らベテラン主体だが、ベントナー、シモン・キアル(パレルモ)、クリスティアン・エリクセン(アヤックス)ら進境著しい若手もバランスよく組み込まれている。ベテランの経験と若手の勢いがチームに良い相乗効果をもたらすだろう。
攻撃面ではグラウンダーのパスを用いた組み立てが中心で、いざとなれば長身を活かして空中戦を挑むなど戦術の幅も広い。またディフェンス面でもGKのトーマス・セーレンセン(ストーク)、CBのダニエル・アッガー(リバプール)、キアルを中心に堅固なブロックを築く。かつては92年の欧州選手権で優勝し、欧州予選でも強豪のポルトガルとスウェーデンを下して本大会出場を掴んだ。今大会でもダークホース候補として期待がかかる。
日本にとっては厳しい組分けだが、このグループの「3強1弱」という構造を逆手に取った戦い方ができれば日本にも勝機はあるはずだ。他の3チームは日本を相手に勝ち点3を計算している。そのため日本相手に点を取れなければ相手にも焦りが生まれる。そこが一番の狙い目だ。相手が前がかりになったところでカウンターを仕掛け、セットプレーでの得点力を活かすために敵陣でファウルをもらう回数を増やしたい。前半から攻守に飛ばしすぎると90分持たないことは親善試合でも証明されている。サプライズを起こすためには、前半に失点しないこと、ペース配分を考えることが絶対条件だ。
カメルーンは組織の完成度という点で不安が残る。ピッチ外ではカメルーンの英雄ロジェ・ミラに名指しで批判されたエトーが代表辞退を示唆するなどお家芸の内紛が勃発し、本大会に臨むチーム状況は決して好ましくない。
組織力に問題がある以上、攻撃面ではエトーのスピード、エリック・チュポ・モティング(ニュルンベルク)、モハマドゥ・イドリス(フライブルク)の高さ、アシル・エマナ(ベティス)の個人技など、個の能力に依存せざるを得ないが、それでも彼らの超人的な身体能力は大きな脅威となる。より状況が深刻なのはディフェンスだ。大会前のテストマッチ4試合で8失点を喫している。守備陣がオランダやデンマークの攻撃にいかに耐えられるかがグループステージ突破のカギとなる。18歳のジョエル・マティプ(シャルケ)やヴァンサン・アブバカル(コトン・スポーツ)など若手選手が多く、次世代のスター候補である彼らの活躍にも注目したい。
(S.S)