ウルグアイ、PK戦制し40年ぶりの準決勝進出 〜準々決勝〜

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 2日、南アフリカワールドカップ準々決勝がヨハネスブルグ・サッカーシティで行われ、ウルグアイ(FIFAランキング16位)とガーナ(同32位)が対戦した。前半ロスタイム、MFサリー・ムンタリ(インテル・ミラノ)のロングシュートでガーナが先制する。後半に入り10分、ウルグアイはフリーキックのチャンスにFWディエゴ・フォルラン(アトレティコ・マドリッド)が直接ゴールネットを揺らし1対1の同点となる。その後は一進一退の攻防が続くも両者決め手を欠き、延長戦に突入。15分ハーフの延長戦も無得点で終わるかと思われた後半終了間際、ガーナのフリーキックのチャンスで混戦からドミニク・アディアー(ACミラン)がヘディングでゴールを押し込むもクリアに入ったFWルイス・スアレス(アヤックス)が手でボールをブロックし一発退場。PKを決めれば勝利という場面でFWアサモア・ギャン(レンヌ)が外し、そのままタイムアップ。PK戦に突入するもガーナは2人が外しウルグアイは全員が成功。ウルグアイが40年ぶりのベスト4進出を果たした。ガーナはアフリカ勢初の4強入りを目前で逃がし、悔しい敗戦となった。

 劇的な展開も、やや後味の悪い結末に(ヨハネスブルグ・サッカーシティ)
ウルグアイ 1−1 ガーナ
   (PK  −2)
【得点】
[ウ] ディエゴ・フォルラン(55分)
[ガ] サリー・ムンタリ(45+2分)

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 W杯はベスト16ステージからトーナメントで行なわれているため、両者引き分けというわけにはいかない。それは十分に理解しているものの、今大会2試合目のPK戦はガーナにとって非情な結果をもたらした。前後半90分では1対1の同点で決着がつかずに延長戦に突入したこの試合は、やや間延びした展開で両者決定力を欠き、そのままPK戦に突入するかと思われた。

 しかし、最後の最後でドラマが待っていた。延長後半15分、ガーナのフリーキックのチャンス。右サイドからDFジョン・パントシル(フルアム)がゴール前に柔らかいクロスを上げると、DFジョン・メンサー(サンダーランド)がGKネストル・ムスレラ(ラツィオ)の前でヘッドでボールを落とす。反応したステファン・アッピアー(ボローニャ)が左足でシュートを放つが、これをゴールマウス前で守っていたスアレスが左足に当て間一髪のクリア。そのボールに反応したのはアディアーだった。ヘディングでゴールへ押し込もうとするが、スアレスが堪らず両手を伸ばし得点を阻止する。主審はこのプレーに対して迷うことなくレッドカードを出し、スアレスは一発退場となった。

 ほぼ手中にしていた決勝ゴールをハンドで妨害されたガーナにはPKが与えられた。キッカーはこの大会でPKで2ゴールを決めているギャンだ。思い切り振り抜いた右足から放たれたシュートは無情にもクロスバーに弾かれゴールならず。ガーナだけでなく、アフリカ勢として史上初のベスト4は寸でのところで逃げていった。

 ウルグアイとしては、このPK失敗は狙い通りだ。スアレスはレッドカードを受けた直後、号泣しながらピッチを去ったものの、PK失敗をピッチ脇で確認すると渾身のガッツポーズ。残り時間がない中での退場だけに、レッドカードは試合の勝敗には全く関係ない。確信犯的なハンドが死に体だったウルグアイを窮地から救った。

 PK戦では一度負けを覚悟したウルグアイが精神的に有利になることは明白だった。先攻のウルグアイの1番手、フォルランが冷静にゴールネットを揺らす。それでもガーナは最後まで攻めの姿勢を崩さなかった。なんと1人目のキッカーは、先ほどのPKを外しピッチにふさぎこんだばかりのギャンだった。このプレッシャーのかかる場面でギャンはシュートをしっかりとゴール右上に突き刺し、今度は自分の仕事をしっかりと果たした。

 ともに2人目を決めたものの、ガーナは3人目、4人目がGKムスレラのセーブにあい失敗する。一方のウルグアイは4人目が外したものの、これを決めれば決着がつくという5人目セバスティアン・アブレウ(ボタフォゴ)が左足でチップキック。GKリチャード・キングソン(ウィガン)は完全にタイミングを外されボールはゴールへと吸い込まれる。この瞬間、ウルグアイがガーナを破り10大会ぶりのベスト4進出を決めた。一方で、アフリカ勢で唯一、決勝トーナメントへ進出したガーナは準々決勝で敗退となった。

 W杯でのPK戦は引き分けという記録が残る。それを考えても、今日の結果はガーナにとって悔いても悔やみきれない結末となった。延長戦終了間際でスアレスがハンドを犯さなければ、ガーナが勝利を手にしていた。もちろん、その後のPKを決めていれば問題なかったものの、アフリカの期待を一身に背負った中での重圧は相当なものだ。PKを外したギャンに敗退の責任を押し付けるのは酷というもの。結果として、故意にハンドを犯したチームがベスト4へ勝ち残るという皮肉な展開になってしまった。サッカーのルール上、これは仕方のないことかもしれないが、非常に後味の悪い結末と言わざるを得ない。

 スアレスが2度と今大会のピッチに立つことはないだろう。ウルグアイは勝利を手にしながらも、ブーイングを受け続ける存在となりそうだ。準決勝は4日後にオランダと対戦する。一晩で嫌われ者となった南米の古豪がどのような戦いを見せるのか。アフリカ全土のみならず、世界中から注目されることになるだろう。

(大山暁生)

【ウルグアイ】
GK
ムスレラ
DF
ルガーノ
→スコッティ(38分)
ビクトリーノ
フシーレ
M・ペレイラ
MF
ペレス
アルバロ
A・フェルナンデス
→ロデイロ(46分)
カバーニ
→アブレウ(77分)
FW
フォルラン
スアレス

【ガーナ】
GK
キングソン
DF
ジョン・メンサー
ボルサー
サルペイ
パントシル
MF
アナン
アサモア
インコーム
→アッピアー(74分)
ムンタリ
→アディアー(87分)
K・ボアテンク
FW
ギャン
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