メジャーリーグの第81回オールスターゲームが14日、アナハイムのエンゼルスタジアムで行われた。試合は0−1と1点ビハインドで迎えた7回、ナショナルリーグが2死満塁のチャンスでブライアン・マキャン(ブレーブス)の3点タイムリーで逆転に成功。最後はドジャースのクローザー、ジョナサン・ブロクストンが締めて3−1で逃げ切った。ナ・リーグは引き分けを挟み、オールスターの連敗を12でストップ。96年以来の勝利をおさめた。ア・リーグから「1番・ライト」で先発出場したイチロー(マリナーズ)は2打数無安打で4回の守備からベンチに退いた。
 MVPは逆転打のマキャン
ナショナル・リーグ  3 = 000000300
アメリカン・リーグ   1 = 000010000
[ナ] ヒメネス(ロッキーズ)−ジョンソン(マーリンズ)−郭(ドジャース)−ベル(パドレス)−ハラデー(フィリーズ)−○キャップス(ナショナルズ)−ウェインライト(カージナルス)−ウィルソン(ジャイアンツ)−Sブロクストン(ドジャース)
[ア] プライス(レイズ)−ペティット(ヤンキース)−リー(レンジャーズ)−バーランダー(タイガース)−レスター(レッドソックス)−●ヒューズ(ヤンキース)−ソーントン(ホワイトソックス)−ベイリー(アスレチックス)−ソリアーノ(レイズ)−バルベルデ(タイガース)

【イチロー成績】
 2打数0安打
第1打席 遊飛
第2打席 空振三振

 オールスターでは史上最多となる9度目の1番スタメン。奇しくも1番スタメン8度の記録をもっていたロッド・カルー(元エンゼルス)の始球式で幕を開けた球宴だったが、そのバットから快音は聞かれなかった。

 ただ、守備では魅せた。初回、アルバート・プホルス(カージナルス)の右中間への大きな当たりに対し、俊足を飛ばしてジャンピングキャッチ。スタンドの観客からは大きな拍手が送られた。 
 直後の第1打席は、4月にノーヒットノーランも達成したウバルド・ヒメネス(ロッキーズ)との対決。前日の会見で速球勝負を宣言した右腕は、約束通り初球からストレートを投げ込む。ワンボールからの直球は真ん中に入ったが球威があった。前半戦でリーグ最多の118安打を放っているヒットメーカーもさすがにバットが押され、ショートフライに倒れた。

 第2打席は3回1死走者なしの場面で巡ってきた。マウンドにはジョシュ・ジョンソン(マーリンズ)。今季は既に9勝をあげ、防御率1.70と安定感のある右腕だ。ジョンソンは初球、2球目と素晴らしいストレートをアウトローいっぱいに決める。これにはさすがのイチローも手が出ない。最後は158キロのアウトハイの速球を振らされ、空振り三振。次の回の守備から地元選出のトリー・ハンター(エンゼルス)と交代した。イチローは昨季の球宴まで24打数8安打、打率.333の成績を残していたが、今年は2打数無安打。4年ぶりのノーヒットで10回目の祭典を終えた。

 試合は完全試合を達成したロイ・ハラデー(フィリーズ)ら4人のノーヒッターが名を連ねた両リーグの投手陣が好投し、ロースコアの展開となる。先制したのはア・リーグ。5回、台湾初のオールスター出場となったナ・リーグ3番手・郭泓志(ドジャース)の四球と送球エラーで無死2、3塁のチャンスをつくる。続くロビンソン・カノ(ヤンキース)の犠牲フライで1点を先行した。

 何としても連敗を止めたいナ・リーグの反撃は7回。ア・リーグ6番手のフィル・ヒューズ(ヤンキース)から連打で1死1、3塁と好機を広げる。2死後、マーロン・バード(カブス)が四球を選び、すべての塁が埋まった。ここで打席に入ったのは途中出場のマキャン。左腕のマット・ソーントン(ホワイトソックス)が投じたストレートを振り抜くと、打球はライト線を破った。3人のランナーがホームを駆け抜ける走者一掃の二塁打。ナ・リーグが3−1と試合をひっくり返した。

 華やかムードの球宴にあって、この日はナ・リーグのメンバーから勝利への執念が伝わってきた。4回にはレフトのライアン・ブラウン(ブルワーズ)がヒット性の当たりをダイビングキャッチ。逆転した7回には、ヒットで出塁したスコット・ローレン(レッズ)が、マット・ホリデー(カージナルス)のセンター前ヒットで一気に3塁を陥れる好走塁を見せた。チャーリー・マニエル監督(フィリーズ)の小刻みな継投策も当たった。これで今秋のワールドシリーズの開幕は、久々にナ・リーグ優勝チームの本拠地で迎える。MVPには逆転打を放ち、キャッチャーとしても好リードをみせたマキャンが輝いた。