メジャーリーグ挑戦を表明していた大谷翔平(岩手・花巻東高)を北海道日本ハムがドラフト1位で指名した。もし大谷が日本ハムを振り切って渡米した場合、現行の規定では帰国後、3年間はNPB(日本プロ野球組織)でプレーできないことになっている。

 これを受け、東北楽天の星野仙一監督は語った。「若いんだから、行きたいならば、行けばいい。ただ(帰国後)5年は(日本で)プレーできないようにした方がいい」。規制強化に乗り出すことで、好素材の海外流出に歯止めをかけたいと考えているようだ。

 日本のプロ野球の空洞化を憂う気持ちは分からないでもない。しかし、いくら規制を強化したところで、メジャーリーグに挑戦したいという若者が現われた場合、水際で阻止することはできまい。そんな小手先の策を弄するヒマがあるのなら、日本のプロ野球がどうすれば魅力的なものになるのかについて、もっと真剣に考えるべきだろう。

 メジャーリーグの潤沢な補強資金も、“青田買い”の背景にはあるようだ。たとえば4年前に、レッドソックスと契約した田澤純一。社会人ナンバーワン投手に、レッドソックスは3年総額330万ドル(約3億円)を用意した。高校生の大谷の場合、田澤並とはいかないまでも、「契約金1億円は下らない」との見方もある。

 先述したように、規制強化はどこか見せしめ的で、私は賛成できない。また、効果があるとも思えない。しかし、メジャーリーグの国際戦略については、きちんと分析し、12球団で情報を共有しておく必要があるだろう。ウィンウィンの関係を目指すには日米間でのトレードなどについても、そろそろ前向きに検討すべき時期にきている。

(このコーナーは書籍編集者・上田哲之さんと交代で毎週木曜に更新します)


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