柳本ジャパンに勝利の女神は微笑むのか――。
 2日に開幕した「FIVB(国際バレーボール連盟)バレーボールワールドカップ(W杯)2007」(女子)の最終ラウンドが、14日から名古屋・日本ガイシホールで始まる。日本は強豪、キューバ、アメリカ、ブラジルと今大会、最も過酷な3連戦に挑む。
(写真:北京五輪の切符をかけて最終ラウンドを戦う柳本ジャパン)
 第3ラウンドを終えての順位は1位イタリア、2位アメリカ、3位ブラジル、4位セルビア、5位日本、6位キューバだ。最終ラウンドではこの6チームが対戦しあい、上位チーム同士の潰し合いが繰り広げられることになる。例えば、1位のイタリアはブラジル、セルビア、そしてイタリアと同じく全勝を誇るアメリカとの3連戦。日本にとっても厳しいことは間違いないが、他国にとっても決して甘くはない。

 最終ラウンドで日本が対戦する3カ国は全てスピード、高さにおいて日本よりも上をいく。では、勝つためにはどうすればいいのか。
 一つは今大会で攻守のキーポイントとなっているセンター線だ。センター線が機能しなければ、どうしてもサイドのアタッカーに頼らざるを得なくなり、攻撃は単調になる。また、ブロックが決まらなければ、相手のアタッカーは気持ちよくスパイクを打ち込んでくる。そうなれば、パワーで勝るキューバ、アメリカ、ブラジルを相手に勝機は見えてこない。日本が得意とするコンビバレーをいかすためにも、センター線の活躍は絶対条件だ。

 また、ミスを可能な限り少なくすることも重要だ。開幕戦のドミニカ共和国戦、日本はセンター線が全く機能せず、到底納得できる内容ではなかった。それでもストレートで勝つことができたのは、相手が痛恨のミスを連発したことだ。特に目立ったのがサービスミス。せっかくきれいにスパイクを打っても、次のサーブでミスをすれば、そこで勢いは止まってしまう。

 日本はセルビアやイタリアに対し、サーブで崩そうとレシーブに難のある選手を狙ったり、積極的にコート奥に落ちる長めのサーブを打つ策に出た。しかし、1試合に数本のサービスミスを犯してしまった。これは野球に例えれば、無駄にランナーを出してしまう四死球と同じに値するものだろう。この厳しい3連戦では1点も自ら献上することは許されない。特にサービスミスは皆無にするくらいの意識で挑んでほしい。

 もちろん、サーブレシーブも重要だ。攻撃陣が力を発揮できるかは、司令塔である竹下佳江がいかに速く、きれいなトスを上げられるかにかかっていると言っても過言ではない。それだけに相手の威力あるジャンプサーブをきちんと竹下に返すことができるかも、キーポイントとなる。

 3連戦の中でもカギを握るのが初戦のキューバ戦である。初戦をものにして勢いをつけることができるか。さらには上位チームにプレッシャーを与えることができるか。この試合に勝てるかどうかで、日本が北京五輪の切符をつかむことができるかが決まると言ってもいいだろう。

 全員一丸となって、日本の力を出し切れば、勝てない相手ではない。明日からの3連戦、柳本ジャパンの真の力が問われる。