19日、ナゴヤドームでセ・リーグクライマックスシリーズファイナルステージが開幕する。4年ぶりにリーグ優勝を果たした中日と、その中日に3連覇を断たれた巨人との対戦だ。両者のCSでの対戦はこれで4年連続。2007年こそ中日が勝ちあがったが、ここ2年は巨人に軍配が上がっている。通算対戦成績は5勝5敗1分と全くの五分だが、果たして今回はどんな戦いを繰り広げられるのか。
 大事な初戦の先発は中日はチェンもしくは吉見一起が有力視されている。2人の今シーズンの巨人との対戦成績はチェンは3勝3敗、吉見は5勝1敗。どちらにしても防御率1.61と安定感抜群の高橋敏文、今シーズン72試合に登板し最優秀中継ぎ投手に輝いた浅尾拓也、リーグトップの42セーブをマークした岩瀬仁紀の強力リリーフ陣にいかにつなぐかがポイントとなりそうだ。

 打線は打率3割9分5厘、7本塁打、18打点と巨人に相性のいい和田一浩が軸となる。移籍3年目の今シーズンは全試合に出場し、自己最多となる37本塁打をマーク。首位打者争いには屈したものの、打率も3割3分9厘を誇った。短期決戦の経験も豊富で、チームにとってはCSでも頼れるベテランだ。

 一方、巨人の初戦の先発は内海哲也が濃厚だ。今シーズンの中日との対戦成績だけを見れば2勝2敗、防御率2.80と安定しているが、11勝8敗、防御率4.38というシーズン成績ではやはり不安は拭いきれない。ファーストステージでも好投を見せた越智大祐、山口鉄也にいい流れでもっていくには、本来なら先発要員である藤井秀悟、朝井秀樹、ゴンザレス、グライシンガーらへの早めの継投も必要だ。彼らが中継ぎとしていかに機能するかが重要となりそうだ。

 両者の今シーズンの成績を見ると、対戦成績は15勝9敗と中日が大きく勝ち越している。しかもナゴヤドームでは中日が10勝2敗で、目下9連勝中だ。さらにチーム防御率ではリーグトップの3.29を誇る中日に対し、巨人は3.89と投手陣の安定感では中日に分がある。そこで巨人にとってカギとなるのが、やはり打線だ。チーム打率は2割5分9厘の中日に対し、巨人は2割6分6厘。本塁打数も119本の中日に対し、巨人は12球団一の226本をマークした。とはいえ、この数字は周知の通り、東京ドームの恩恵であることは否めない。一発が出にくいと言われるナゴヤドームではいかに打線がつながるかが重要だ。

 そこでキーマンとなるのが亀井義行だろう。ファーストステージで打線の軸となったのが小笠原道大。8打数6安打、打率7割5分と勝負強さを発揮した。さらにシーズン終盤に不調にあえぎ、打順を落としていた坂本勇人も1番に復帰し、9打数4安打とリードオフマンの役割を果たした。ところが、この2人の間に2番として起用された亀井は9打数1安打に終わっている。坂本がつくったチャンスを亀井が広げ、好調の小笠原につなぐことができれば、その後に続く中軸、下位打線にも勢いがつくはずだ。本人としても出場71試合で打率1割8分5厘と不甲斐ないシーズンを送っただけに、少しでもチームに貢献したいところだろう。

 先述したように今シーズンの対戦成績を見ても、中日が圧倒的有利であることは否めない。1勝というアドバンテージが巨人には重くのしかかってくることは間違いないだろう。しかし、セ・パのファーストステージを見てもわかるとおり、ホーム球場での開催がアドバンテージになるとは限らず、逆にホーム球団へのプレッシャーになっているところもある。さらに懸念されるのは、ファイナルステージでは実戦から遠ざかっているということ。早めに試合勘を戻さなければ、いくら1勝のアドバンテージがあるとはいえ、手遅れになることもある。短期決戦での勢いを決して甘く見てはいけない。