21日、プロ野球セ・リーグのクライマックスシリーズファイナルステージ第2戦が行なわれた。初戦を制した中日は、この日も序盤に2点を奪うと、先発の吉見一起から高橋聡文、浅尾拓也とつなぎ、2試合連続の完封リレー。アドバンテージの1勝を加えて対戦成績を3勝0敗とし、3年ぶりの日本シリーズ進出に王手をかけた。

◇ファイナルステージ(第2戦)
 巨人、18イニング連続無得点……(中日3勝0敗、ナゴヤドーム)
巨人   0 = 000000000
中日   2 = 01100000×
勝利投手 吉見(1勝0敗)
敗戦投手 内海(0勝1敗)
セーブ   浅尾(1S)
 中日が強いのか、それとも巨人が弱いのか。ナゴヤドームでの巨人は蛇ににらまれたカエルのようになす術がない。中日の強力投手陣が、第1ステージを2戦とも逆転勝ちで突破した巨人の勢いを完全に消し去った。

 この日も先手をとったのは中日だった。2回、四球とヒットで1死1、2塁のチャンスを迎える。ここで8番・堂上直倫はボール球の変化球に手を出して空振り三振に倒れ、打席には9番・ピッチャーの吉見一起。巨人はピンチを脱するかと思われた。ところが先発・内海哲也の投じたストレートが甘く入り、吉見の打球はセンターへ抜ける。中日にとってはラッキーな形で先取点を手にした。

 流れをつかんだ中日は続く3回、連打と死球で無死満塁と追加点の絶好機をつくる。4番のトニ・ブランコはフルカウントからチェンジアップをすくいあげ、レフトへの犠牲フライ。難なく1点を加えた。次の藤井淳志が併殺打に終わり、リードは広げられなかったが、たった2点でも巨人にとっては重すぎた。

 第1戦に続きスタメンからトップバッターの坂本勇人が外れた巨人打線はとにかく元気がなかった。初回、2回と得点圏にランナーを進めたものの、あと1本が出ない。中盤にかけて調子を上げてきた吉見の前に、4回から6回までは3イニング連続の三者凡退。前日同様、スコアボードにゼロが並んだ。

 ようやく巨人が反撃をみせたのは7回だ。高橋由伸がチーム初の長打(2塁打)を放ち、ひさびさの走者を出す。さらに長野久義が死球を受け、1死1、2塁と長打で同点の場面を迎える。だが、坂本の代役でショートに入っている古城茂幸には代打を送れず、ピッチャーゴロ。内海への代打・矢野謙次もサードゴロに終わり、またもや無得点に終わった。

 それでも8回、巨人は先頭の脇谷亮太が左中間の2塁打でノーアウトで得点圏にランナーを進める。しかし、この日無安打の2番・亀井義行がフルカウントまで粘りながら、最後はフォークボールにバットが一回転。つなぐことすらできない。3番・小笠原道大に打順が廻ったところで、中日は満を持して高橋聡文をマウンドへ送り込む。セットアッパーとして今季、大活躍した左腕は小笠原をショートゴロ、アレックス・ラミレスを空振り三振に仕留め、相手の息の根を止めた。

 高橋は最終回も登板し、先頭の阿部慎之助をファーストゴロに打ちとってお役御免。落合博満監督は9回1死から浅尾拓也をつぎこむと、右腕は残る2者を難なく抑え、試合を締めくくった。クローザーの岩瀬仁紀を出すまでもない完勝だった。

 中日はこの試合、わずか6安打。4回以降はわずかヒット1本と淡白な攻撃が続いた。普通なら試合の流れが変わってもおかしくない。ところが巨人は自分たちのペースに持ち込めなかった。崖っぷちの状況を変えるには動くしかないだろう。早めの投手交代や代打策で勝ち抜いた第1ステージとは異なり、負けているせいか原監督の采配もやや消極的に映ってしまう。2戦連続で欠場した坂本も、試合に出られない状態なら他の選手を登録すべきだ。このまま中日にいいところなく日本シリーズ進出を許しては、来季以降の戦いにも尾を引きそうな気がする。