日本独立リーグ・グランドチャンピオンシップ2010は24日、香川・アークバリアBP志度で第2戦が行われた。試合途中から雨の降る中、両チームが点を取り合った熱戦は9回で決着がつかず、4−4のまま延長戦に突入する。しかし延長10回、四国・九州アイランドリーグチャンピオンの香川オリーブガイナーズがルーキー甲斐弘樹のサヨナラ本塁打で5−4とBCリーグチャンピオンの石川ミリオンスターズを下し、連勝で2年ぶり3度目の独立リーグ日本一に王手をかけた。第3戦は石川県営野球場に場所を移し、30日に実施される。
 南(元巨人)、好リリーフも1球に泣く(香川2勝、志度、1,335人)
石川ミリオンスターズ   4 = 000102010 0 
香川オリーブガイナーズ 5 = 0003010001× (延長10回)
勝利投手 伊藤(1勝0敗)
敗戦投手 南(0勝1敗)
本塁打  (香)中村3号ソロ、甲斐1号ソロ

 勝利を呼び込む打球が強くなった雨を切り裂いた。延長10回、3番・甲斐がワンストライクから南和彰のスライダーを逆らわずに打ち返す。レギュラーシーズンで1本もなかったホームラン。成長著しい18歳の一振りで、香川がグランドチャンピオンシップでのホーム不敗神話(この勝利も含め6連勝)を継続させ、王座奪還まであと1勝と迫った。

 先発は香川がリーグ最多勝(15勝)の高尾健太。石川はチーム最多勝の左腕山下英をマウンドに送った。両者ともに立ち上がりは完璧だった。3回まで四球でお互いに1人ずつ走者を許したものの、無安打に抑えて得点を与えない。

 均衡が破れたのは4回だ。石川は1死から元ソフトバンクの本間満がチーム初安打で出塁する。本間はすかさず2盗を決めると、2死後、相手のバッテリーミスで3塁へ進んだ。ここで5番・木村陽彦(がレフトへ先制のタイムリー。第1戦とは異なり、石川が先手をとった。

 しかし、香川もすぐに反撃する。その裏、1死から2番・笠井要一が四球を選ぶと、同じように盗塁とワイルドピッチで3塁に進む。打席には前日の猛打賞で3番に抜擢された甲斐。追い込まれながらもライトに運び、西田真二監督の起用に応える同点打を放った。さらに4番・中村真崇、5番・国本和俊にも連続タイムリーが生まれ、3点をあげて逆転する。

 試合中盤から雨が降り始める中、6回、今度は石川が逆襲に転じる。先頭の座親孝一がヒットで塁に出ると、2死後、本間の当たりは三塁前への内野安打となり、1、3塁と好機が広がった。ここで4番の深澤季生がレフトへはじき返し、まず1点。先発・高尾をマウンドから引きずり降ろす。さらにスイッチした左腕の西村拓也に対し、石川ベンチは代打に右の笹沢学を起用し、勝負に出た。結果は笹沢がセンターへのタイムリー。3−3と試合は振り出しに戻った。

 ところが、香川は試合の流れを相手に渡さない。その裏、先頭の中村がライトへの勝ち越しソロ。7回からは酒井大介、8回は元ヤクルトの伊藤秀範と1点を死守する継投をみせた。だが、思わぬ守備のほころびが出る。8回、1番・戸田衛が打ったセカンドゴロを逸らして先頭の出塁を許すと、1死2塁となって、この日2安打の本間が1、2塁間を襲う内野安打を打った。打球を見た戸田は一気に3塁を蹴ってホームへ。セカンドからの返球は間に合わず、石川は足を使って同点に追いついた。戸田は前日もワンヒットで1塁から本塁に突入するプレーをみせており、香川の守備陣も警戒が必要なところだった。

 1点が重くなる終盤、先にビッグチャンスをつくったのは香川だ。8回、先頭の甲斐が右中間を破る2塁打を放つ。2試合で3本塁打と当たっている中村が敬遠気味の四球で歩き、送りバントで1死2、3塁。ここで石川は満塁策をとり、元巨人の南を送り込んだ。絶体絶命のピンチ、昨季はリーグで最多勝をあげた右腕がうなる。迎えた智勝を追い込んで見逃し三振に仕留めれば、元巨人の代打・加登脇卓真に対しては低めのボールを打たせてセカンドゴロ。南は9回も香川打線を三者凡退に封じ、試合は無制限の延長戦にもつれこんだ。

 石川にとって惜しかったのは10回の好機を逃したことだろう。1死から戸田がセンター前に弾き返し、得意の俊足を飛ばして2盗を決める。一打勝ち越しの場面だったが、猛打賞の活躍をみせていた本間が歩かされ、4番の深澤もセカンドゴロに倒れた。

 チャンピオンシップはこれで3年連続、アイランドリーグ勢が連勝で王手をかける形になった。ただ、過去2年はいずれもBCリーグ勢が盛り返し、2勝2敗として最終第5戦まで持ち込んでいる。石川にとっては約1週間のインターバルがあるのは救いだ。地元に戻っての巻き返しに期待したい。