28日、都内のホテルでNPB(日本プロ野球機構)の「新人選択会議」(ドラフト)が行なわれた。昨年に続いて一般客に公開された今ドラフトでの最大の注目は斎藤佑樹、大石達也(ともに早稲田大)、沢村拓一(中央大)の“剛腕トリオ”。斎藤は4球団の競合の末に北海道日本ハム、最多の6球団が指名した大石は埼玉西武、沢村は巨人が単独指名し、それぞれ交渉権を獲得した。
(写真:4年連続で学生日本代表入りも果たし、大学球界の顔だった斎藤)
 再試合にまでもつれこんだ高校野球の歴史に残る名勝負「早稲田実vs.駒大苫小牧」から4年。“ハンカチ王子”の愛称で親しまれ、国民的スターとなった斎藤佑樹が六大学リーグでの実績を引っ提げ、プロの道を切り開いた。交渉権を獲得したのは日本ハム。3年前、中田翔を引き当てた藤井純一球団代表が満面の笑みを浮かべた。最多の6球団が競合した大石はクジの結果、埼玉西武が交渉権を獲得。昨年の菊池雄星に続いて、強運を発揮した渡辺久信監督は両手を突き上げ、喜びを爆発させた。

 そして希望球団であった巨人からの単独指名となった沢村。あの伝説の名投手・沢村栄治以来、67年ぶりの「巨人・沢村」誕生とあって、プロ入り後も注目されそうだ。12球団唯一“剛腕トリオ”を指名しなかった中日は、夏から故障で苦しんでいるものの、本来であれば今ドラフトNo.1サウスポーの呼び声高い大野雄大(佛教大)を1位指名した。

 斎藤を早くから1位指名すると公言していた千葉ロッテは外れ1位に俊足巧打の大学No.1外野手・伊志嶺翔大(東海大)を指名。オリックスと競合したが、西村徳文監督が見事引き当てた。ロッテ同様、斎藤を外した福岡ソフトバンクは強肩・強打の高校生No.1捕手・山下斐紹(習志野高)を指名。東京ヤクルトは今秋の明治神宮大会代表決定戦決勝で東北福祉大を相手にノーヒットノーランを達成した塩見貴洋(八戸大)を指名したが、新指揮官に星野仙一監督が就任したばかりの東北楽天と競合。クジの結果、塩見の交渉権は楽天へと渡った。

 ヤクルトは3人目に走攻守三拍子揃った山田哲人(履正社高)を指名したが、今度は大石、伊志嶺と外したオリックスと重複し、三度クジに。しかし、小川淳司監督が3度目の正直で当たりクジを引き当てた。オリックスは俊足・強肩の後藤駿太(前橋商)を指名した。そのほか、大石を外した阪神は安定感抜群の社会人No.1サウスポー榎田大樹(東京ガス)、広島は4年前、巨人に指名されながら大学進学を選択し、着実に力をつけてきた福井優也(早稲田大)、横浜は社会人で開花した須田幸太(JFE東日本)をそれぞれ指名し、交渉権を獲得した。
 

 各球団の指名選手は次の通り。

<交渉権獲得決定選手>

横浜
【1巡目】
 須田幸太(JFE東日本・投手)※大石の外れ指名
【2巡目】
 加賀美希昇(法政大・投手)
【3巡目】
 荒波翔(トヨタ自動車・外野手)
【4巡目】
 小林寛(大阪学院大・投手)
【5巡目】
 大原慎司(TDK・投手)
【6巡目】
 福山博之(大商大・投手)
【7巡目】
 大原淳也(四国九州IL香川・内野手)
【8巡目】
 つる岡賢次郎(四国九州IL愛媛・捕手)
【育成1巡目】
 松下一郎(関西外語大・捕手)

東北楽天
【1巡目】
 塩見貴洋(八戸大・投手)※大石の外れ指名
【2巡目】
 美馬学(東京ガス・投手)
【3巡目】
 阿部俊人(東北福祉大・内野手)
【4巡目】
 榎本葵(九州国際大付高・外野手)
【5巡目】
 勧野甲輝(PL学園高・内野手)
【育成1巡目】
 加藤貴大(BC富山・投手)
【育成2巡目】
 木村謙吾(仙台育英高・投手)
【育成3巡目】
 川口隼人(滋賀・高島ベースボールクラブ・内野手)

広島
【1巡目】
 福井優也(早稲田大・投手)※大石の外れ指名
【2巡目】
 中村恭平(富士大・投手)
【3巡目】
 岩見優輝(大阪ガス・投手)
【4巡目】
 金丸将也(東海理化・投手)
【5巡目】
 磯村嘉孝(中京大中京高・捕手)
【6巡目】
 中崎翔太(日南学園高・投手)
【7巡目】
 弦本悠希(四国九州IL徳島・投手)
【育成1巡目】
 山野恭介(明豊高・投手)
【育成2巡目】
 池ノ内亮介(中京学院大・投手)

オリックス
【1巡目】
 後藤駿太(前橋商高・外野手)※大石、伊志嶺、山田の外れ指名
【2巡目】
 三ッ俣大樹(修徳高・投手)
【3巡目】
 宮崎祐樹(セガサミー・外野手)
【4巡目】
 塚原頌平(つくば秀英高・投手)
【5巡目】
 深江真登(関西独立L明石・外野手)

東京ヤクルト
【1巡目】
 山田哲人(履正社高・内野手)※斎藤、塩見の外れ指名
【2巡目】
 七条祐樹(伯和ビクトリーズ・投手)
【3巡目】
 西田明央(北照高・捕手)
【4巡目】
 又野知弥(北照高・投手)
【5巡目】
 久古健太郎(日本製紙石巻・投手)
【6巡目】
 川崎成晃(熊本ゴールデンラークス・外野手)
【育成1巡目】
 北野洸貴(神奈川大・外野手)
【育成2巡目】
 上野啓輔(四国九州IL香川・投手)
【育成3巡目】
 佐藤貴規(仙台育英高・外野手)


北海道日本ハム
【1巡目】
 斎藤佑樹(早稲田大・投手)
【2巡目】
 西川遥輝(智弁和歌山高・外野手)
【3巡目】
 乾真大(東洋大・投手)
【4巡目】
 榎下陽大(九州産大・投手)
【5巡目】
 谷口雄也(愛工大名電高・外野手)
【6巡目】
 斉藤勝(セガサミー・投手)

巨人
【1巡目】
 沢村拓一(中央大・投手)
【2巡目】
 宮国椋丞(糸満高・投手)
【3巡目】
 田中太一(大分工高・投手)
【4巡目】
 小山雄輝(天理大・投手)
【育成1巡目】
 和田凌太(広島工高・内野手)
【育成2巡目】
 岸敬祐(四国九州IL愛媛・投手)
【育成3巡目】
 福泉敬大(関西独立L神戸・投手)
【育成4巡目】
 荻野貴幸(愛知工大・内野手)
【育成5巡目】
 財前貴男(エイデン愛工大OBブリッツ・捕手)
【育成6巡目】
 成瀬功亮(旭川実高・投手)
【育成7巡目】
 川口寛人(西多摩倶楽部・内野手)
【育成8巡目】
 丸毛謙一(大経大・内野手)

千葉ロッテ
【1巡目】
 伊志嶺翔大(東海大・外野手)※斎藤の外れ指名
【2巡目】
 南昌輝(立正大・投手)
【3巡目】
 小林敦(七十七銀行・投手)
【4巡目】
 小池翔大(青学大・捕手)
【5巡目】
 江村直也(大阪桐蔭高・捕手)
【6巡目】
 藤谷周平(南カリフォルニア大・投手)
【育成1巡目】
 黒沢翔太(城砦国際大・投手)
【育成2巡目】
 山口祥吾(立花学園高・投手)
【育成3巡目】
 石田淳也(NOMOベースボールクラブ・投手)

阪神
【1巡目】
 榎田大樹(東京ガス・投手) ※大石の外れ指名
【2巡目】
 一二三慎太(東海大相模高・投手)
【3巡目】
 中谷将大(福岡工大城東高・捕手)
【4巡目】
 岩本輝(南陽工高・投手)
【5巡目】
 荒木郁也(明治大・内野手)
【育成1巡目】
 阪口哲也(市立和歌山高・内野手)
【育成2巡目】
 島本浩也(福知山成美高・投手)
【育成3巡目】
 穴田真規(箕面東・内野手)

埼玉西武
【1巡目】
 大石達也(早稲田大・投手)
【2巡目】
 牧田和久(日本通運・投手)
【3巡目】
 秋山翔吾(八戸大・外野手)
【4巡目】
 前川恭兵(阪南大高・投手)
【5巡目】
 林崎遼(東洋大・内野手)
【6巡目】
 熊代聖人(王子製紙・外野手)

中日
【1巡目】
 大野雄大(佛教大・投手)
【2巡目】
 吉川大幾(PL学園高・内野手)
【3巡目】
 武藤祐太(ホンダ・投手)
【4巡目】
 森越祐人(名城大・内野手)
【5巡目】
 関啓扶(菰野高・投手)

福岡ソフトバンク
【1巡目】
 山下斐紹(習志野高・捕手)※斎藤の外れ指名
【2巡目】
 柳田悠岐(広島経済大・外野手)
【3巡目】
 南貴樹(浦和学院高・投手)
【4巡目】
 星野大地(岡山東商高・投手)
【5巡目】
 坂田将人(祐誠高・投手)
【育成1巡目】
 安田圭祐(四国九州IL高知・外野手)
【育成2巡目】
 中原大樹(鹿児島城西高・内野手)
【育成3巡目】
 伊藤大智郎(誉高・投手)
【育成4巡目】
 千賀滉大(蒲郡高・投手)
【育成5巡目】
 牧原大成(城北高・内野手)
【育成6巡目】
 甲斐拓也(楊志館・捕手)