29日、女子バレーボール世界選手権が開幕した。真鍋政義監督率いる全日本女子は1次ラウンド初戦、ポーランドと対戦。開幕戦の緊張からか、いきなり2セットを連取された日本だったが、エースのWS木村沙織や若手のWS迫田さおりなどの活躍で第3、第4セットを奪い返した。第5セットは一進一退の攻防戦となったが、最後は相手のミスにも助けられ、日本が逆転勝ちをおさめた。
(写真:最後のマッチポイントを決めたエース木村)

日本 3−2 ポーランド
(26−28、21−25、25−20、25−23、15−12)
 注目の第1セット、日本はエース木村のスパイクで先取点を奪うと、チーム最年少のWS江畑幸子のサーブでポイントを連取し、幸先よいスタートを切った。その後もサイド、センターと多彩な攻撃を見せた日本は前半、ポーランドを翻弄。17−11とその差を6点に広げた。ところが、ここからポーランドの猛追にあう。相手エースのスパイクが次々と決まり、18−18と並ばれてしまう。終盤は激しい攻防戦が繰り広げられた。互いに粘りを見せたが、最後は木村のバックアタックがラインを越え、ポーランドに先取された。

 第2セット、日本は序盤でミスが続き、ポーランドに試合の主導権を握られる。なかなかリズムをつかめない日本は途中、ケガから復帰したばかりのWS栗原恵を投入するなどし、最大8点あった得点差を盛り返し、20−23と3点差にまで縮めた。しかし、時すでに遅し。このセットも奪われ、崖っぷちに立たされる。

 第3セット、一進一退の攻防から途中、ポーランドが頭一つ抜けるも、中盤にミスが続いた。すると、日本はエース木村を中心に攻撃を組み立て、守ってはレシーブ、ブロックでしつこく喰らいついた。20−20と並ぶと、日本は相手に1点も許さず、5ポイントを連取し、このセットを奪い返した。

 第4セット、爆発したのは迫田だった。迫田は先取点のバックアタックを皮切りに、その後も次々と力強いスパイクを決めていく。特筆すべきは1回目のオフィシャルタイム直後の9点目。司令塔のS竹下佳江が迷わず迫田にトスを上げるも、相手は完全に読んでおり、3枚の高い壁が迫田の前に立ちふさがった。しかし、「怖いという気持ちはあったが、とにかく前に前にという気持ちでぶつかっていった」という迫田は臆することなくバックアタックを打つと、ボールは吸い込まれるように3枚の壁の前に落ちた。そしてチームも途中、攻めが単調になったところをポーランドに突かれ、一時は逆転を許すも、最後は相手のミスを尽いた日本が接戦を制した。

 第5セットは両者ともに一歩も譲らない展開となったが、相手のミスで13−12とリードすると、栗原がブロックアウト狙いのスパイクを決め、マッチポイントを迎えた。そして最後、決めたのはやはりエースの木村。強烈なバックアタックがポーランドのコートに突き刺さり、日本が苦しみながらも初戦を白星で飾った。

 日本のリズムを取り戻したのも、そして最後のマッチポイントも日本の速いバックアタックだった。「速いバックスパイクは日本の生命線。遅いと、相手の高いブロックが2枚、3枚ととんでくるので、レフトもライトもやられてしまう。だからこそ、日本はスピードをいかしていくしかない。完成度としてはもっと確率を高めていかないといけないが、夏のワールドGPよりも全員が確実に速くなっている」と真鍋監督。指揮官の読み通り、速いバックアタックが日本を救ったかたちとなった。

(写真・斎藤寿子)