2010年のプロ野球のラストを締めくくる日本シリーズが30日、開幕した。史上初めてレギュラーシーズン3位からシリーズ出場を果たした千葉ロッテは1−2と1点ビハインドの3回、ルーキー清田育宏の同点ソロと今江敏晃のタイムリーで逆転。その後も得点を追加し、5−2で初戦を制した。

◇第1戦
 ロッテ救援陣が揃って好投(ロッテ1勝、ナゴヤドーム)
千葉ロッテ   5 = 012001100
中日       2 = 020000000
勝利投手 成瀬(1勝0敗)
敗戦投手 吉見(0勝1敗)
セーブ   小林宏(1S)
本塁打  (ロ)清田1号ソロ、井口1号ソロ
       (中)和田1号ソロ、谷繁1号ソロ
 先発以下、投手陣が充実している中日と救援陣に不安があるロッテ。だが、初戦に関してロッテのリリーフ陣の奮投が白星を引き寄せた。

 先発はロッテは予想通り左腕の成瀬善久、中日はチェンではなく吉見一起がマウンドに上がった。試合が動いたのは2回だ。ロッテは先頭のサブローがセカンドへの内野安打で出塁すると、早くも西村徳文監督は5番・今江に送りバントを命じる。得点圏に走者を置いて、2死後、大松尚逸がフルカウントから高めに浮いたフォークを叩く。打球は伸びてフェンス直撃の2塁打。1点を先制した。

 だが直後、成瀬が崩れる。先頭の和田一浩に高めのストレートをライトスタンドへ運ばれ、あっさりと同点。なおも2死後、谷繁元信にはレフトスタンドにスライダーを叩き込まれた。今季、被本塁打数がリーグワースト(29本)だった左腕の悪癖が出て2失点。ホームランの出にくいナゴヤドームでは珍しい一発攻勢で中日が逆転に成功する。

 しかし、吉見もピリッとしない。続く3回、1死から2番・清田に高めのスライダーを打ち抜かれる。打球はバックスクリーンに飛び込む同点弾。新人のシリーズ第1戦でのホームランは巨人・長嶋茂雄以来52年ぶりとなる記録だった。これで勢いの増したロッテは続く井口資仁のヒット、サブローの死球で走者をため、今江がセンターへタイムリーを放つ。2塁走者が生還し、3−2と勝ち越した。一方の吉見はこの回限りで降板。3回4失点は誤算だった。

 反撃したい中日だが、その裏には無死1塁の機会を荒木雅博が送りバント失敗でつぶすなど、相手を助けてしまう。すると6回、ロッテは無死1塁から確実に犠打を決め、チャンスをつくる。ここで西村監督は5回2失点の成瀬に代打を送り、根元俊一を起用。この積極策が功を奏する。根元こそ凡退したものの、打順が1番に戻って西岡剛がセンターへのタイムリー。貴重な1点を追加した。

 とはいえ、まだリードはわずかに2点。継投に出たロッテには不安が残る展開だ。たが、この日のブルペン陣は違った。6回の薮田安彦、7回の内竜也、8回の伊藤義弘がいずれも中日打線を三者凡退に切ってとる。相手のお株を奪うような安定感のあるリリーフで抑えの小林宏につなぎ、試合の流れを渡さなかった。

 対する中日は最終回に代打の野本圭が先頭でヒットを放ったものの、続く森野将彦が併殺打。ソロ2発で得点したのみで打線がつながらず、圧倒的な勝率を誇るホームでの初戦を落とした。

 第2戦は中日がチェン、ロッテは渡辺俊介の先発が予想されている。