3日、日本シリーズ第4戦が行われ、中日が延長戦の末、千葉ロッテを4−3で下し、対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。中日は3点を先行されるも、4回に2点、5回に1点を返して追いつく。6回以降は両軍ともにあと1本が出なかったが、延長11回、中日は2死2塁のチャンスを築き、大島洋平がタイムリー3塁打。1点を勝ち越して5時間近い熱戦を制した。

◇第4戦
 ロッテ、10回無死2、3塁逃す(中日2勝2敗、千葉マリン)
中日       4 = 000210000 01
千葉ロッテ   3 = 003000000 00 (延長11回)
勝利投手 高橋(1勝0敗)
敗戦投手 伊藤(0勝1敗)
セーブ   岩瀬(1S)
本塁打  (ロ)井口2号2ラン
「えらい下手な野球をやらせたな」
 試合後の落合博満監督の言葉が象徴するように両チームとも決め手を欠いたゲームだった。
 
 先発は予想どおり、ロッテが21歳の唐川侑己、中日は45歳の山本昌だった。平成生まれの初勝利と、シリーズ最年長勝利をかけた登板だ。初回、中日は先頭の荒木雅博がヒットで出塁する。ところがここまでシリーズ無安打の井端弘和が犠打の構えからヒッティングに出るも、セカンドゴロでダブルプレー。試合の流れをつかめない。

 さらに3回、再び先頭の大島がヒットを放ちながら、牽制でタッチアウト。ここまでチグハグな攻撃が続けば、ロッテにチャンスが生まれる。3回、1死から9番・岡田幸文がヒットで出ると、続く西岡剛に対する初球を山本昌が大暴投してしまい、難なく2塁に進む。さらに1ストライク3ボールから投じたスライダーが甘く入り、西岡の打球はレフト線へ。岡田が悠々とホームに還り、1点を先行した。なおも2死から井口資仁が外角のストレートをライトにうまくおっつけて2ラン。あっという間にロッテに3点が入った。

 ただ、右ひじの故障上がりの唐川も踏ん張り切れない。直後の4回、森野将彦、和田一浩の連続長打で1点を失うと、続くブランコの犠飛で1点差に迫られる。なおも4回、先頭の谷繁元信を自らのエラーで出塁させてしまう。さらにバントの構えをみせた大島にスライダーをぶつけ、無死1、2塁。1番に戻って荒木が三遊間を破り、すべての塁が埋まった。ここで打席は初回に併殺打を打っている井端。汚名返上といきたいところだったが、結果はまたも併殺打。同点にこそ追いついたものの、中日は主導権を握れなかった。

 それでも負けなかったのは、頼みの投手陣が踏ん張ったからだ。毎回のように得点圏に走者を背負いながら、あと1本を許さない。9回には2死2塁から西岡が放ったレフトへの大飛球がわずかに切れる幸運もあった。一方の打線も2度の好機にいずれもブランコのバットが空を切り、重苦しい展開が続く。

 ターニングポイントとなったのは10回だろう。ロッテは先頭の清田育宏が四球で歩くと、続く井口の打球が風で押し戻され、ライトが目測を誤る。しかも弾んだ打球を後ろに逸らし、無死2、3塁。走者の出し方からして、ロッテには“追い風”が吹いていた。ところがこの日ノーヒットのサブローは浅いレフトフライ。好調の今江を敬遠して勝負した福浦和也の打球は3塁線を襲う。思わず走者が飛び出してしまう当たりだったが、ボールは守備固めで入った堂上直倫のグラブの中へ。3塁走者は戻りきれず、ダブルプレーで一瞬にして絶好のサヨナラ機が潰えた。

 最後は大島の一打で勝ち越したとはいえ、中日打線のつながりの悪さは気になるところだ。特に井端はここまで4試合とも無安打。主砲のブランコも打率1割台と元気がない。一方のロッテも1番の西岡、サブローが打率1割台で波に乗り切れていない。第5戦はお互いの先発が谷間にあたり、中4日で第1戦に投げた吉見一起、成瀬善久が登板する可能性もある。不調の打者がいつ目覚めるかが、日本一へのカギとなりそうだ。