4日、先月28日に行なわれたプロ野球新人選択会議(ドラフト)で1位指名された斎藤佑樹、大石達也、福井優也が会見を行なった。前日の六大学野球秋季リーグで50年ぶりとなる慶應大との優勝決定戦を制し、4季ぶりの優勝を果たした後だけに、会見は終始和やかなムードに包まれた。
(写真:ドラフト指名の喜びを改めて語った斎藤<右>、大石<中央>、福井)
 4球団の競合の末に北海道日本ハムが交渉権を得た斎藤は、「北海道には縁を感じている。日本ハムはいい球団だと聞いているし、道民の方たちもあたたかく、いい人ばかりと聞いているので楽しみ」と北海道や球団についてのイメージを語った。また、入団した際には真っ先に話をしたい選手にダルビッシュ有を挙げ、「いろいろと学びたい」と日本球界を代表する右腕との対面を心待ちにしている様子もうかがわせた。

(写真:「4年間、あまり休みをもらえなかったので、神宮大会が終わったらゆっくりしたい」と本音も……)
 そして4年前、甲子園で死闘を繰り広げた田中将大(東北楽天)について、「対戦したいという気持ちはあるか?」という記者からの質問に迷わず「はい」と答え、「(対戦するためには)自分が彼と同じ立場にまで上がっていかなければいけないので、早く追いつけるように頑張りたい」と表情を引き締めた。

「これまで応援してくれる人がいたから頑張ることができた。これからもそういう人に恵まれるように謙虚にやっていきたい。ケガをしないような体づくりをして、息の長い、そして活躍して記憶に残る選手になりたい」と抱負を語った斎藤。甲子園、神宮で築き上げたサクセスストーリーの続編はプロの世界で見ることができるのか。真の力が問われるのはこれからだ。

 今ドラフト最多の6球団から指名され、埼玉西武の渡辺久信監督が引き当てたのが157キロ剛腕の大石だ。ドラフト当日は斎藤ら野球部員と会議の様子を見ていたという大石は「あんなに多くの球団から指名してもらい、正直驚いた。決まった瞬間、チームメイトが自分のことのように喜んでくれたので嬉しかった」と語った。
「同世代で活躍している選手が多いので、早く追いつけるように頑張りたい。ファンに愛され、子供たちに夢を与えられるような選手なりたいと思う」
 大学入学時は遊撃手として将来を嘱望されていたが、自ら投手への道を選び、見事プロへの切符をつかみ取った大石。指名球団の数からも実力では斎藤をもしのぐ注目を浴びているだけに、1年目からの活躍が期待される。
(写真:「プロで活躍して恩返しがしたい」と大石)

(写真:福井の卒業論文のテーマは「コントロール」。プロ入り前の最後の大仕事だ)
 5年前、巨人からの指名を断り、1年浪人してまで六大学への道を選んだ福井は、「決して遠回りではなかったと思う」と早大での4年間への思いを語った。
「早稲田実業高から入った斎藤、推薦で入った大石、そして1年浪人して入った福井。三者三様だが、福井は一番の苦労人。見た目はふてぶてしいが、本当は繊細で気が優しい。3人の中で一番プロ向きだと思う。プロではもっと伸びるはずだし、躍動感のある活躍を期待したい」と恩師の應武篤良監督から激励された福井。「一番大事なものは何か」という問いに「仲間が一番」という斎藤、大石とは異なり、「仲間も大事だが、自分をしっかりもった選手になりたい」と答えるあたりにも、“苦労人”らしさがにじみ出ていた。

 前日の早慶戦を制した早大は今月13日に開幕する明治神宮野球大会が控えている。3人にとっては大学4年間の集大成となる。全日本大学選手権では3度の優勝を誇る早大だが、明治神宮大会では一度も頂点に立っていない。また、今シーズン限りで應武監督の退任も決定しており、それだけに優勝への気持ちは強いはずだ。果たして、3人は有終の美を飾ることができるのか。早大のドラ1トリオからはまだまだ目が離せそうにない。